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Sunday, June 16, 2013

ペットショップが子犬を販売するのに、8週目を過ぎなければならない、という「生後8週齢規制」の法律が、通るには通って、「繁殖を行った犬又は猫であって出生後五十六日を経過しないものについて、販売のため又は販売の用に供するために引渡し又は展示をしてはならないこと」とされた。

他にも、「販売ができなくなった犬猫などを原則終生飼養すること」や、「必ず顧客に直接、動物の状態を見せ、対面して飼育方法などを説明すること」、「午後八時〜翌午前八時の展示販売禁止」といった改正が成されているが、ここでは生後8週齢に絞ってみよう。

実は… 生後8週齢規制の実施については、施行後3年間は45日にするという付則が加わった。反対していた販売業者団体などの中には、あのJKCも含まれる。傑作なのは、法改正時に緩和措置を決めた議員の言い訳で、二言目には「科学的根拠に照らして」。世の中、科学的根拠のないことなど、山ほどある。人間も犬も猫もイキモノで、機械や化学薬品のように理屈だけでは収まらない。人間の子供を一律に、生後何年目まではこうしなさい、などと言えるだろうか。個々に発育状況が違って当然の人間を、科学的にその時期だとして判断しようがあるだろうか。翻って同じイキモノの、子犬の八週齢規制について科学的根拠を求めるほど非科学的なことはないのではないだろうか。十分信頼に足る研究者の観察結果があればこそ、欧米は八週齢規制をかけているのではないのかなぁ。

そんな56日(=8週目・暫定45日)。例え付則があっても、微妙に変化は起きているように思う。それは、子犬たちが他の犬と仲良くできる率が、高くなっていることだ。法改正後、ペットショップのあの仕切られたケージが減り、あつらえられた広い場所で、パピィが一緒に遊んでいるのを眺められるようになっているのにお気付きだろうか。

もともと、きちんとしたブリーダーから譲り受けられたワンコたちは、おおよそフレンドリーだ。一方、この法律の施行前にペットショップから来ていたワンコたちは、情緒不安定で無駄吠えも多く、カブを見ると吠えかかったり、噛みつこうとする例が少なくなかった。ところが、この法律が施行された後の子たちは、尻尾を振って「おにいちゃん、遊んでよ」のノリで寄ってくる子が増えた。つまり、まるっきり逆の反応を示しているのだ。8週齢という欧米の基準は、経験則や研究結果から導き出された、犬が社会性を損なわずに成長するために、親犬や兄弟犬とともにいるべき期間なのだから、当然といえば当然なのだけれど、こうも違ってくるか、と感じるほどだ。

写真 ブリーダーさんから譲り受けた時に撮影
カブは8週目ちょうどで親犬の下を離れ、我が家にやってきた。別れる前には母犬に甘え、聞こえて分かるわけじゃないけれど、「行ったらいい子にして、可愛がってもらうんだよ〜」とでも言われているかのような一時もあった。兄弟と喧嘩をしたり遊んだり、母犬に甘えたり、しっかり愛情に包まれた8週間を過ごしたカブは、極めて希に例外もあるとはいえ、多くのワンコたちと仲良くできる、比較的良い子に育っていく素地ができていたのだろう。

そんな経験から、この八週齢への法改正は本当に「改正」だったと言って良いだろうと思う。十分に社会性を身につけ、他のワンコや、他の犬好きな人々とも仲良くやっていけるワンコなら、きっと、飼い主さんも安易に手放したりせず、生涯のパートナー、家族になる。

願わくば、速やかに45日にするという付則が撤廃されて、飼い主さんや友達ワンコと幸せに暮らせるワンコが増えますよぉに。

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