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Monday, November 12, 2007

デジタルカメラとWi-Fiの融合は、CanonやNikonのDSLRではお馴染みのオプションで実現している機能。古くはRicohのデジカメがPHSカードでネット越しに画像転送機能を提供していたほどで、撮影現場と、離れたストレージやサイトを結びつけようというアイデアが描いてくれるビジョンは、少なくとも日本では熟成されている。端的な

例が携帯のデジカメで、撮ったその場で誰かに送るのは当然の機能。大解像度になったコンパクトデジカメにとっては、通信機能の融合はファイルサイズと通信速度の表裏一体で、なかなか円滑には進んでこなかった。ようやく、先頃NikonからWi-Fi内蔵のS51cで実現したばかり。デジイチでは撮影現場と編集デスクを結ぶなどの用途が考えられるものの、重量や価格、故障の可能性などとの折り合いのためか、例えばCanon ワイヤレスファイルトランスミッター WFT-E1 のようなオプションとして用意されてきた。しかしながらこのオプション、14万円と殊のほか高額。そりゃあ、確かに長距離届くとか、確実に通信できるとか、値段相応のことはしているのだろう。しかし、広くネットワーク機器を見たときの価格の下落に対して、見事、高値に留まっている。

ここでふと思うのは、どうして内蔵や専用オプションでなければそれが実現できないのだろう、ということだ。実際、PHSやWi-FiでCFカード型やSDカード型として実現しているPDA向け通信機能が、今のいまでも各種デジカメの汎用品になっていないのは、Web2.0がコンテンツ時代だという、その意味を業界人がプッシュでばかり捉えてきたからかも知れない。

このごろになってようやく、Nikon S51cやCasioのEXILIMがYouTubeキャプチャ機能などでWeb2.0対応とでも形容したいような機材が出始めたと思っていたら、この、アメリカの新製品、2GBのメモリを兼ねたWi-Fi SDカード“Eye-Fi”の報に出くわした。これなら、カメラが通信機能を持たずとも、ワイヤレスにその場で撮影から公開までが完了する。速報性という意味では最強だろうし、手軽さという意味でもこれに尽き、今あるデジカメで済む ─ おおよそ大手ブランドのデジカメには対応している模様 ─ だから、こんなに有り難いことはない。その上、価格が99.99ドル。2GBのカードと思えば、一枚買っておくのに損はなさそうだ。

残念なのはアメリカ国内のみであること。無線機器だから認可の問題などもあるだろうけれど、これは、どこぞの業者なりデジカメ各社なりで販売して欲しいなぁ、と思う。例えこれから先のデジカメにWi-Fiが標準搭載されるようになるとしても、今既にユーザーの手許にあるカメラをフォローすることは、Wi-FiやYouTube接続といった機能だけを理由に他のメーカーのカメラへユーザーが流れるのを防ぐ、自社製品にとってのつなぎ止めであり、損はないだろう。

Eye-Fi SDカードは「飛んでるカード」。データも飛んでいればビジョンも飛んでいるのである。そこへ行くと、日本のカメラメーカー、全体的にはまだまだ「飛んでも(い)ない」ねぇ…。