オフィス犬を任じた黒ラブのカブと連れ歩きしていると、棒に当たるじゃないが、妙なことでも改めて考えさせられる。犬が好きだけれど猫は嫌いとか、猫は好きだが犬は嫌いとか、まぁあれこれあるんだろうが、散歩コースには「ムリッ!!」と言いたくなるような注意書きが…
ある。曰く「ここで犬に小便をさせるべからず」。本能で他の犬のマーキング跡にマーキングを重ねている犬の、その行いそうなところで止めさせようと引っ張ったところで、そこいらじゅうに振りまくだけ。それは、貴殿がもし小用の最中に後ろから引っ張られたとしてすぐに止められないのと一緒だ。だから、ひたすら、犬がしなくなるように消臭し続けておかない限り、ムリ。一応、テリトリー本能が強く成りすぎないように散歩コースをランダムに変えるといった手は使っているけれど、マーキングは止まらない。

いや、それどころか、雄犬なのだからと、なかなか片足を上げてくれないカブの成長度に心配すらした。ある時など、なぁんとなく脚を上げるものらしいと思ったのだろうが、どっこい、上げたのは前脚…。大笑いされて以来、バツが悪いのか二度と前脚は上げなかった。ようやく最近になって、チョイと片足を上げるようになってくれて、飼い主としては一安心したほど。だから、止めさせたいなどと思う方がおられるというのが、信じられない。
自分たちの野糞はほったらかしで…
糞だって、そりゃあ拾って跡を残さないのが理想だが、軟便のときだってある。山歩きしても取ってはくるが、ふと見ると人間の野糞の立派なのがティッシュを冠してあったりする。確かにまぁ、自分の野糞の跡を拾って行く人間はいないだろうなぁ…(でも、せめて埋めろよぉ…犬だって後足で砂かけるぞ)。
ブツブツとヒマになると考える。吠えたりマーキングしたりするのは犬の本能に基づいている。それを無視して人間社会のルールを押しつけたところで、結局、有史以来人間と共に過ごしてきたペット代表の犬を犬でなくすか、或いは極論すればペットを禁止するようなことではないのだろうか、などと考え始めてしまうのだ。自分たちの勝手な理由や都合だけであれこれ改良と称して掛け合わせて変貌させ、挙げ句最後には迷惑な存在にしてしまう ─ これほどの身勝手はないだろう。
犬の立場で見ると、「そんなこと言われてもなぁ…俺の領分に勝手に入ってきたヤツがいたから追い出そうとしただけなのに…かなワン」とか「マーキングしてなきゃ美犬のあの娘に気付いて貰えないワン」とか、はたまた糞では「人間がへんなものを作って食わすから腹を下したんだワン」とか、イロイロありそうだ。猫の立場なら「私たちにゃラブホなんてないニャ〜」とか「猫社会に楯突くと後が怖いニャ〜」なんて思ってたりとか…だって、猫は特に化け猫なんて言うように、恨み云々の話に良く登場するじゃないか。ちなみに、アメリカのFDAはペットフードにリコールを出すなどするが、日本にはそんな官公庁はない。
筋のちがうこともある
室内でのマーキングが躾で治るという人もあるようだが、犬は本来、自分の居住空間は汚物では汚さない。動物はそれなりにきれい好きなのだ。だから、常に直後に掃除・消臭して綺麗にし続けることと、屋外やペットシーツの上だけにするようにタイミングを見計らって辛抱強く訓練すると、それを守るようになる。逆に、犬の居住空間に常にトイレがあるような状態にしてしまうと、そのきれい好きの本能が壊れて、汚れても平気なようになる。分かっているブリーダーさんが頻繁にトイレ用の新聞紙を取り替えながら幼児期を過ごさせているのは、この本能を壊さないためだ。
一方、屋外のマーキングは意味が違う。散歩していればどうしたって他の犬のマーキング跡に出会い、そこに自分の存在を加えようとする。雄犬らしく、なかなか脚を上げないでいたカブを「今時の犬だから」と形容した息子の一言は言い当てて妙だったが、いつまでもしないから、逆に心配になっていたのだ。雄々しく高々と脚を上げてマーキングする姿の、なんとたくましいことか。
日本がペットにとってどんなに住みづらいかは、ペット用品の中にも見て取れる。例えば、室内用消音室。吠える犬を入れておく箱で、14万円ほどもする。マンションに無駄吠えする犬がいたら必需品だろうなぁ、と分かるものの、高価なマンションを買ったのに隣室の音が…という視点で考えると、建物のクオリティも影響していそうだ。戸建て住宅でも遮音性の悪い住宅はかなり多い。住宅地では静かに暮らすものだという常識を逆手にとって遮音性を利益の犠牲にしていたのだとしたら「それは筋が違うだろ」と思う。姉歯モノじゃないが、遮音性は住宅に求められて当然の品質のうちのプライバシー要素の一つ。その要素が、ペットの暮らしようにも大きく影響しているというわけだ。
必要な努力はするけれど
動物と人間が共存する地球上で、ペットについて飼い主だけに無理難題を押しつけるのはどうだろう。1で書いたように、不都合なものを全て排除した社会はどこか息苦しく、生きた心地がしないのではないだろうか。だから私は、ペットの散歩にあたって糞の始末は当然だけれど、犬猫の用足しは家の中 ─ 室内でマットの上だけにするべきだなどという行き過ぎたマナー論には与しかねるなぁ ─ といった、そんなふうことをあれこれ思いつつ、ダンプ体制に入った犬の尻の下に新聞紙を敷くという、最初に実践している方を拝見したときには魔法のように見えた方法にトライしている。でも、なかなかうまく行かんのだよ、これ…。[参考] 犬の小用を避け臭いを消すには、木酢液が効果的らしい。木酢液の入ったペットボトルをしばりつけた電柱があったけれど、さすがに寄りつかないようだった。もし「ウチの前ではしないよぉに」と思う方があるなら、効果を保証するわけではないけれども、安売りの木酢液でスプレーしたり洗い流したりしてみる価値はありそうだ。一つお試しあれ。
Posted by nankyokuguma at 11:26:28. Filed under: ワン歩の徒然に

