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Monday, February 19, 2007

解説 お客様は神様か? - 4 (完結)

まず、人口が減る。人口が減ってもGDPの2.6%成長が可能なら、なんとか世界の中で相対的に現状が維持できる。だが、今のままでは2050年のこの国は、滅びているか、かろうじて最貧国として

地球上に痕跡がある程度だという可能性が否定できない。大企業は海外に活路を求め得るが、人はそうは行かない。今だって、大企業は明日の商品開発のために人材を求め、海外に出ている。日本に本社を持つ企業だから日本人だけがやってるなんてもう誰も思ってもいないだろうが、楽観論者の示す事象には、知ってかしらずか虚偽があるように感じられる。

2050年に1/3の総人口、或いは1/3の労働人口で、3倍の経済 ─ 世界の富のうち日本が得てきた割合の富を引き続き得ている ─ ことを目標としたときの課題の一つは、子供たちをどう育むか、だ。良く識者の口から出るように、最低限、工業生産時代の歯車製造のような教育ではまるっきり駄目だ。なんせ、工場ではロボットがモノを作っている。今でも既に、人が担っているのは「何を作るか」であって、モノそのものの製造じゃあない。

もう一つの課題として良く言われるのが移民の受け入れ。現状を見ていれば極めて難しいように感じるが、いずれ、頑なな行政も「背に腹は代えられない」と悟る時が来るのだろうか。或いは、押し寄せる移民の現実が法規制を強引に曲げてゆくのだろうか。芸能と医療も先ず進みそうな分野だったが、医療のほうは、患者が海外へ流出したほうが安上がりで合理的かつ快適といわれる面が、既にある。現実が先行している業種もあるが、こちらは法との間でしばしばニュースになるような悲劇も生んでいる。押し寄せるほど日本にやってくることに価値・魅力のあるうちが花で、まだ来てくれる人々がある間に、うまく受け入れられる日本になれば良いのだが、世界の富が集まらなくなれば、頼んでも来てもらえないのだ。

食品や小売りなど、様々な業界で人口減少・市場萎縮への対応の動きが起こっている。神様と祭り上げてあるったけむしり取ればそれで良い時代は終わった。お客様と一緒になって、明日がやってくるように、明後日にはもっと良くなるように、というように一つひとつに取り組んで行く、そんな時なのだろう。今日は買ってもらえても明後日も買ってもらえなければ、先送りの僅かな時のずれがあるだけで、結局は共倒れじゃあないか。

膨張した企業だとて、人がそこにいなくては何のための企業か。だから、企業「だけ」が成長したところで、結局のところ、法人税による富の再配布以外に人の益するところはない。その再配布とは生活保護であり、生き甲斐などとは無縁の世界。そんな具合になってしまわないように、ベターな明日を求めて行きたいものである。