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Thursday, January 11, 2007

解説 お客様は神様か? - 3


先の発表では、1億2千7百万人が50年後に8993万人に減るという。およそ3707万人がいなくなる計算になり、単純に割って年あたりにすると74万1400人だ。まだ実感がわかないのなら…

都市に例えてみると良い。2年ごとに政令指定都市が一つなくなる、と思ったらどうだろうか。一昨年は福岡が消えた。今年は神戸が消える、というような具合である。それほどの規模・勢いで人口が減るのだ。
ビルダーバーグ倶楽部なる本があり、そこに同倶楽部がもくろむ2050年の人口があった。計算してみると、2050年の日本の人口はこの予測のおよそ半分ほどの4470万5千人くらいになる。この数字は、先の発表が推定する労働者人口に奇妙なほど符合する。

未来の人口予測は大規模な伝染病や戦争といったアクシデントは考慮していない。もし、予測にこうしたアクシデントを加味して考えてみたら、どうだろうか。ビルダーバーグ倶楽部が目論む予測の半分という数字は、あながち絵空事でも不可能でもなさそうではないか。むろん、このビルダーバーグ倶楽部はウケの良い陰謀説の一つに過ぎず、真偽につてい何の断言もできないことではある。だが、それにしたところで、公式予測が既に前述のような数字として出ている以上、仕組まずとも最悪を想定すれば頭ごなしに「そんなに減るもんか」とは言えないように感じる。

政令市が毎年のように消え去って行くような状態では、国内市場だけに頼った企業においては言うまでもなく、経済活動そのものが危うくなる。もし、今騒がれている増税が不要なら ─ 最低限、消費に水をさす消費税の増税が不要なら、人口の減少に伴う消費の衰退に対して、僅かとはいえ抵抗する下地となる。しかし、だ。昨年12月8日のGDP2次速報が「2006年7〜9月期の実質GDPは年率換算で0.8%成長」で名目GDPは年率0.0%減。世界経済の規模は2050年までに3倍ほどにもなるというが、大雑把に年平均成長率2.6%弱もあれば複利で辻褄があう(かな?)。失われた10年といわれる時期ですら、平均1.2%成長だったのだからと一瞬安心しかけたところに、0.8%だ。

これで日銀が金利を上げたらデフレに拍車がかかると経済専門家は言うが、実際のところ、デフレだといってももう安くなりようのないものが多々ある。人は食べることは止められない。どんなに健康に良いと分かっていても安い添加剤だらけの食品を選ぶのは、健康よりも生命の存続が優先するからだ。結果のデフレとして捉えられている物価安が労働者のリストラや給与の据え置き・削減で成立してきたとしたら、今より値下げを可能にする要素は、考えつかない。労働者が消費者ではなく税の消費者=生活保護家庭になって行くとき、財源を増税に頼るなら大企業は海外脱出し、中小企業は更に倒産。税源を失った日本という国自体も当然、倒産する。

私だってこんな悲観的な見通しは嫌。できたら楽観論に組したい。けれども、考えれば考えるほど悲観的なビジョンのほうがリアリティをもって脳裏に浮かんでしまうのだ。