日本の国内消費は強いのか
日本の国内消費が強いと言う説もあるが、どうだろうか。自動車を見ると、決して強いというほどではないと…
思える。第一、若年購買層を考えると、ただでさえ人口が減少傾向なのに、免許は持たないか持てないか、だ。昔は高卒就職なら先ず免許を取得していたが、最近はそうでもないらしいし、大量輸送機関が便利なのに慣れきって、生活の中に自動車を使うビジョンが描かれない。おそらく若年世代が欲しいと思うのだろう車は作られているけれど、フリーターでは車のローンも組めなければ駐車場代も払えまい。
世界の富の一部を日本へ集めている国際的な産業は、言うまでもなく自動車産業だ。だが、お膝元では使えない・使いにくい商品が外では売れるなどといういびつな形は、そう続くものではないから、世界中の人が買いたいと思う自動車を生み出すDNAが枯れてきているのではないか、と危惧してしまう。実際、例えばホンダの研究所の中で研究開発が最も進んでいるのはアメリカだという。
また、国際所得収支が高いというが、米国債が多い。あの、石原都知事が「換金して引き上げるぞと脅せば…」と言ったことでも分かるように、即時換金不能な塩漬け状態にある。米国が、米国で稼いだお宝をそうは簡単に持ち出しさせないように、世界中に資金を提供しているからといって、収支状況に安心して良いわけではなかろう。ふつう、貸し主が死んで返済義務がなくなれば借り手は喜ぶのではないかなぁ、と思う。
ちなみに、国債は左右のポケットの間で金を行き来させているようなものだと思っている米国市民は、少なくないようだ。実際にはポケットに穴があいていて漏れ落ちている(金利で目減りする)ところを、日本など周りが補っているだけれど。
そんなこんなで、法人税が下がって法人が海外へ逃げ出す危険性は少し減ったけれども、国内消費が喚起されない状態なのは心許ない。人口予測がこれまでの予測よりさらに減ると発表された。市場が縮小して行くのに、どうして楽観視できるだろう。
税率を下げたことで企業の流出だけは避けられるかも知れないが、アメリカで得た富は、兄貴分アメリカに「貸しといてくれ」と言われて断れず、貸しっぱなし。変わる人口構成に老後不安から個人資産は貯蓄に回る。よしんば余力があったところで、うさぎ小屋には既にモノが溢れている ─ これでどうして国内消費が大丈夫なのか。「儲かってももう買ってられない」じゃないか。ラテンになって浪費しようよ、という森永卓郎氏のような論者もあるが、モノが溢れた部屋の中で、鼻先にさらに悪くなった少子高齢化予測を突きつけられ、誰がラテンになれるだろう。
ウォルマートが気づいているように、やはり、解は「消費者たる労働者」にありそうだ。企業というゴーストだけが太っても、誰も幸福にはなれないのだから。
Posted by nankyokuguma at 17:39:20. Filed under: General
