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Saturday, January 06, 2007

解説 お客様は神様か? - 1


定番の商品と買い換え需要
アメリカ軍の資材調達では同一製品を長く使い続ける必要があるため、業者に部品の製造を委託し、補修部品をストックする。一定期間を過ぎた補修部品は競売にかけられ、補修用ストックのため、新しい部品が調達される。競売された部品は業者を介して民間のユーザーが手に入れる。だから、軍が採用したものであれば、非常に長い期間モノを使い続け得る可能性が高い。
製造業者には… 残存者利益という世界がある。真空管のようにピークを過ぎたものでも、作り続ければそれなりにニーズがあり、寡占状態になるからだ。そして、軍需などがそれを下支えする。長い歳月をかけて成熟した品々には、新品とは違う価値があるし、改善の余地のないところにまで達したものもあるのだ。

ウォルマートの安売り
購買力のある人々がいる間は、安売りだけでも成立する。だが、購買力のある人々だけを相手に、その購買力を得ることのできない低賃金で雇用を続ければ、早晩、社会保障や治安のために税の形でコストを払うことになるし、購買層は永続するとは限らない。だから、雇用者が一方では顧客であるほうが社会循環としては円滑で合理的だし、社会全体で見たときの幸福率も高い。

日本の流通業
ウォルマートが日本上陸したのは記憶に新しい。「鮮魚などウォルマートが流通業者として日本に叶わない面がある」という人もあるが、今、世界の魚市場で起きていることを考えると、この指摘は、過去には当たっていた時期もあっただろうが…というレベルのように思う。そもそも、十数年前にロサンジェルスの寿司やでノルウェーのサーモンを食べた頃、日本にはまだサーモンの握りはなかった。それを言うと「日本には冷凍輸送はないのか」と言い返された。鮮魚流通が良くなって、私が暮らす関西のスーパーマーケットでもそこそこおいしい刺身が買えるようになったのはここ数年。12年前に関西にやってきた頃は、スーパーで売っている魚は腐っているかと思うようなシロモノだった。今日、日本は鮮魚の国際市場で「値切る癖に品質にうるさい」と言われ、買い負けている。

もともと、共働きといった生活内容の変化がある上に、冷凍庫も良くなるなど、客が買いだめし易い、或いは買いだめしざるを得ないことと、量販したほうが単価が下がることからして、大量に買ってもらえる店作りには脈があると思う。ところが、日持ちするものは大量に買い置きする習慣の変化も求められるというのに、どぉも量販する気がないように見える。それは、相変わらず小さなカゴと、バックで駐車する駐車場に代表される。カゴを大きくされればなんとなく一杯買うだろうし、一杯買ったものをカートに乗せて車まで運べば、それを積むのは後ろから。ところが、駐車場にはカートが通るほどの間隔は、ない。つまり、大量に買って帰ってもらおうという風に作られておらず、むしろ、大量購買者を拒んでいるようにすら感じるのだ。