短い大型犬の一生を思って、良い思い出をと旅行にも出かけていたのに、昨年は忙しいやら何やらで、結局旅行できず。私自身のほうが、続く仕事に参ってしまい、一泊二日で良いから本当の休暇が欲しい、と感じる限界に達した。当然、カブ抜きの休みなんぞ有り得ない。気疲れしたくもないから、目指す行き先は今や良く知っている、白浜のベイリリィだ。
この二年の間に、ベイリリィは…
「かの」ポチたまペットの旅で紹介されるなど、誠実なご商売に折り紙もつき、Facebookでも拝見していて、いつも宿泊客が多いご様子だが、運良く、妻がパートを休める日の予約がとれた。
大きな犬も歓迎してくださっている宿は、そうはない。白良浜ビーチのところに新しく犬と泊まれる宿が出来てはいるんだけど、どうせ、砂浜は犬禁止。カブは海で泳ぎたいのだから、これはボツ。私たちの休養の場はやはり、一応調べ直しても結局は、一昨年とおなじ 白浜のBay Lily しらゆり荘 になった。
二年を経てるから、ひょっとしたらちぃとは傷んだかも知れないけれど、きっと相変わらずで、掃除の行き届いた畳の部屋に「犬連れで」泊まれる。多すぎるほどの料理を見越して、Webサイトから、さほど高くないコースで予約した。
やっぱり、ちょうど良い距離

我が愛車は相変わらず狭い感じだし、妻にはちょっと「重たい道中」だったけれど、きっと良い思い出になる ─ そう信じて、まだクラシックカーとは呼んでもらえないMGFで、一路白浜を目指した。
一昨年、ラブラドールという犬種は年々少しずつながら体格が大きくなるようだと書いたが、実は、7〜8歳をピークに、体躯が微妙に縮みだした。これは、金尺を脇に、寝ているところを時折撮影し、その金尺で寸法を合わせてフォトショップで比較するとようやく分かるほどの僅かさだけれど、人間だって歳をとれば縮むというから、まぁ当然といえば、当然。1日13時間と言われる犬の睡眠時間も、歳のせいか、カブ君はたぶん、もっと長い時間寝て過ごしている。
睡眠不足になるのは可哀想といえば可哀想だけど、一泊二日、ベッタリ一緒にいられる。白浜までの道路は、五月末の平日とあって、ガラガラ。神戸からのんびり車を走らせ、ちょうど良いあたりのドッグラン併設、紀ノ川PAで一休み。ちょっと暑い日だったけれど、ここで脚を伸ばせるのは、とても有り難い。



唯一、阪和自動車道の単車線対面通行が辛い。と、いうのは、折角の休みの旅に速度取り締まりや事故など御免だから、のんびり走るのだが、どうしても追い抜きたい車が後ろにつながってしまうから。追い抜いてもらえる場所があれば先に行って貰うけれど、それがなかなか、追い抜いてもらえない。民主党から自民党に政権が移り、凍結された予算が解除されたという、その四車線化工事が進められていた。もう数年すれば、きっともっと快適に行けるようになるだろうと思う。

白浜に着いて先ず目指すは、いつもの円月島。これを見ると「白浜に来た、着いた!」と、実感する。カブ君はすでに海の臭いを嗅ぎ取り、泳ぎたがる。由緒正しく、漁村の犬ラブラドールのDNAが黙ってないのだろうけど、ここで海に浸かったら最後、体を流せもしないし、宿まで車にはびしょ濡れで乗ることになるから、我慢してくれ〜。それに、白浜というところ、砂浜という砂浜がことごとく犬禁止なんだよね。
で、今回もコンビニでサンドイッチなどを買って、千畳敷方面へ移動。犬禁止でないところは…と探していると、あったあった…いそぎじゃないなら、寄って行こ〜、の「いそぎ公園」(ちがうってば)。チャボなどが一杯いる鶏小屋がなぜかあって、とても不思議な雰囲気の場所。防風林を通り過ぎると、千畳敷のような岩の先は、断崖絶壁。さすがのカブ君も、ここでは「駄目じゃん」と脚が止まった。

良かったよ〜、飛び込まないで。ベンチもテーブルもないけれど、岩に座ってノンアルコールビールとサンドウィッチで軽く昼食。ゆったりのんびりできたから、○。

またきたよ、ベイリリィ
頃合いを見計らって、ベイリリィへ移動。かつて知った場所、分かった道で、迷わず到着。三浦支配人はお休みだったけれど、大旦那さんがたに、にこやかに歓迎された。カブ君も覚えているらしく、大喜びだ。ドッグラン脇の犬舎の主、看板犬のトイ君も元気そう。何やら豪華なワンコ用夕食メニュー(写真右)ができていて、選んでくださいとのこと。魚かなぁ…いや、珍しいからこっちでしょう、という妻の勧めで、カンガルーに。

部屋へいくと、今までよりも一階上で、ちょっと広い感じ。久々の畳に、のびのびゆったりカブ君ともども体を投げ出した。ひといきついてから、風呂。それから散歩に、食事。まずはのんびり、湯に浸かって命の洗濯。

夕食前に一歩き。いつものように漁船やプレジャーボートが係留されている岸壁を、泳ぎたそうなカブ君と歩く。夕食までには乾かないから、泳ぎは今は、やめとこぉねぇ〜。
ふと見ると、大手ホテルに電気自動車充電スポットができていた。大阪でも南のほうからなら片道200kmほどだから、リーフのような電気自動車でも往復可能ということになる。これからの時代、旅先の宿には必須の設備になって行くのかも知れない。


海の幸と、ワンコの幸
宿に戻り、食べきれないほどの海の幸の待つ食堂へ。同宿のワンコと飼い主さんたちは、既にお食事中。ワンワンとお迎えをうけながら、こればっかりは悲しい性で、料理をパチリ。ひとしきり撮り終えたら、まずは熊野古道麦酒で咽を潤して、いざ!!…という前に、カブ君はカンガルーとデザートなどのワンプレートディナーを、あれこれ一気に平らげてた。相変わらず、早食いだねぇ〜。
お腹がパンパンになるほど、美味しく頂戴して部屋に戻ると、畳に寝そべって…「く、くるしぃ…」。



夜のうちにもう一度湯に浸かるつもりが、私は断念。でも、いつものように旅先でも一緒に食事の時間を過ごせるのは、やっぱり何よりありがたい。
懐かしいカエルの合唱を聞きながら、テレビを見るでもなく、パソコンに向かうでもなく、ただただのんびり、ぼ〜っとしながら、ぐぅたら、どぉ〜んと伸びているカブ君の脇で、横になって過ごす。日課通りの就寝前のトイレ散歩にちょっとだけ出たけれど、あとはカブ君の寝息を聞きながら、就寝。

朝だ、海だ!!
朝五時、目覚めてゴソゴソしだしたカブ君に起こされる。外はもう明るい。彼は、泳ぎたいのだ。朝一番のトイレを済ませ、かつて知ったる道を、若返ったように喜びいさんで、尻尾フリフリ突き進んで…あれ、住宅ができてる…。じゃあこっちで、と、立派な旧家の脇の小さな浜に降りる。この段差が、泳ぎたいくせに歳のせいか妙に怖がって、カブ君、なかなか降りようとしない。しゃあないなぁ、と抱きかかえて降ろす。若い頃とは、やっぱり違う。
それでも、浜に降りれば歳を忘れて、泳ぎ出した。あまり魚が跳ねてなくて、棒を投げてよ、とせがむ流し目。流れ着いていた棒を投げると、それを目標に泳ぎ出す。その泳ぎは、相変わらずスイスイ、この鮮やかな犬かきこそ、見事なラブラドールらしさだ。枝を投げれば、獲りに行く。また投げれば獲りに行く ─ 文字通りの、レトリーバー = 回収犬だ…といいたいが、遠目に見ると大きなカワウソというか、白浜に正体不明の海獣現る…みたいな。
泳いでは上がり、上がっては泳ぎをくりかえすこと、30分以上。良質の全身運動の仕上げは、さっき降りられなかった段差のジャンプ。アドレナリンが回っているせいか、今度は見事なジャンプで上がってきたけれど、これは「おなかすいた〜! ご飯、ゴハン」の食欲パワーもありそう。


ベイリリィに戻り、いつものワンコの温泉 ─ 入り口前の源泉掛け流し、温泉シャワーで洗い流す。換毛期のせいで、毛が良く落ちる。しっかり綺麗にして、部屋に戻る。朝食までまだ間があるので、私は温泉へ。カブ君は泳いだ満足感とともに、そのけだるさに浸りながら、畳の上に寝そべっている。
我々の朝食は、和朝食。カブ君には持参のおやつと、我々のお裾分けを少々。旅先の朝食ってのは、どぉしてこぉもたくさん食べられるかなぁ、といつも思う通り、妻が呆れる朝から三杯。部屋に戻り、ヒトイキついてから荷をまとめ、またのんびりして、チェックアウトタイム。愛犬連れに女将さんに、にこやかに送り出していただいた。
帰路

実は、白浜のあちこちで、ナギサビールというのぼりをいつも目にしていて、ずっと気になっていたのだけど、宿にもツーリストトラップの販売所にも、町の酒屋にもなかなか売ってなくて、入手に苦労した。ところが前日、ナギサビール直販所という建物を発見。販売窓口を見ると、28日まで休業とあった。じゃあ、明日なら開いてるのか、というわけで、先ずはその直販所へ走る。
裏通りに車を止めて行くと…開いてたあいてた。ガラガラっと窓口の窓を開くと、呼び鈴を鳴らしてください、とあるので、チ〜ン。バター顔のお兄ちゃんが出てきた。お土産に3種類、3本・3本・4本で、計10本。箱詰めしてくださっている間、中の様子をうかがうと、そこにはビールの醸造タンクがところせましと並んでいる。これは明らかに新鮮で、期待できそうだ。


ビールをゲットした後は、女将から教わった番所山へ。南方熊楠記念館そのものは、入ってみたいものの、カブ君を待たせるのが可哀想だし、こっちも念入りに拝見できないので、いつも諦めていたのだが、その南方熊楠記念館の周辺を昨年、再整備したのだという。昔、江戸時代に田辺藩士らがここで外国船を見張ったことなどからその名前がついたといわれるだけに、その眺望は見事。けれど、案内マップが今一つ分かり難く、南方熊楠記念館と展望台の他にはたどり着けなかった。ひょっとして、整備中立ち入り禁止になっていた歩道入り口の先が、芝生広場だったのかも知れない。ま、蒸し暑い日だったから、歩くのはあのくらいで良いでしょ。
一昨年同様、大きな土産店でも車を停めたけれど、どうも品揃えは今一つで、今回はたいして買い物はせず。その代わり、実は一昨年の帰路に立ち寄って良い感じだった印南SAにストップ。ここでお土産をあれこれゲットしたら、そこそこの量になって、「パンをサービスしてますから、どれでも二つ、好きなのを選んでください」。いや、嬉しいねぇ〜。ちなみに、ここで売っているダイヤモンド梅とドライミカンは、値頃で、土産にピッタリ。

仕入れ終えたら、一路神戸へひた走る。紀ノ川上りPAはドッグ・アンフレンドリーだったのと、妙に暑苦しい天気になっていたので、一旦入ったものの降りずに湾岸線へ抜け、一路神戸を目指した。稜線に並んでいる発電の風車を見ると、まるでカリフォルニアでLAへ戻っているかのような気分になる。
温泉につかって、海の幸をいただき、とにかく何もせず…パソコンにもさして向き合わず、一泊二日ながら十分な休息。今回も、良い旅でありました。これも、ホスピタリティ溢れるベイリリィさんと、出会ったステキな飼い主さんたちのお陰と、感謝かんしゃ。まだまだしっかり、海で、立派なラブラドール遊泳を見せてくれたカブ君。きっとまた、行こうね〜。
Posted by nankyokuguma at 11:06:25. Filed under: 犬連れ旅



