宿選びでは、犬種・大きさで宿泊可能な犬を選別している宿が多いのも、気になった。ググってみると、犬と泊まれる宿は、結構ある。あるけれども、大型犬可となると、グッと減る。その犬が宿に泊まっても大丈夫かどうかは、躾によるし、その振る舞いは、普段、室内で飼っているかどうかにもよることで、大きいか小さいかは、あまり問題ではないと思うのだ。まして、ボーダーコリーが中型でラブラドールやゴールデンが大型なんて、そりゃあまぁ、体重差はあるとはいえ、見かけ上、どれほど違うというのだろうか。この点、大きな犬も歓迎してくださっている宿は、つまり、ポイントを理解しておられる、と解しても良いだろう。
減ったそれらの内容を一つづつ、丹念に見て行く。…
「犬は専用ケージで、別室に…」ダメ。意味ないじゃん。「…食堂はダメ」ダメ。それじゃあ、楽しさ半分。「温泉もドッグランもプールも…」スゴッ…値段もスゴッ…。料理は…「熊野牛…」牛肉ねぇ…「バーベキュー…」どっかそのへんでやったほうが楽しい…と、さらに絞る。Cubは泳ぎ好きだから、綺麗な海水で泳がせてあげたい。だったら、山よりは海かなぁ…。食事も、新鮮な海の幸のほうが、肉より良いね、などと家内と話して、決めたのが…

ドッグラン
最近では、高速道路のサービスエリアの幾つかに、ドッグランが設置されている。往復の予定コース上を調べると、阪和道で二箇所、設置SAがあると分かった。
往路は、紀ノ川。ちょうど神戸の拙宅から、湾岸線経由だとちょうど中間地点あたりなので、これは理想的。帰路は岸和田で、湾岸線へは戻れないが、寄ってみることに。往復で350kmほどのドライブなら、Cubにも負荷が少なくて済むけれど、さらに、途中で、用もたしつつのびの〜びして、犬にはとっても良さそうだ。


飲み水の蛇口が犬の造作だったり、想像していたよりは細かいところで気を遣った空間。なるほど、高速道路週末無料の間、これを目当てにドライブに来る人たちがいたというのも頷ける。



覆面パトカーも少なくなかった阪和道の残りは、小雨混じりの天気でもあり、できるだけのんびりペース、安全第一のエコ走行でひた走った。
宿に到着

▲ 一見古いが、手入れは行き届いていたBayLily。
いつ大雨が降り出してもおかしくない雲行きだが、チェックインを済ませ、ひとまず部屋へ。窓からは海も見えるけれど、何より、対岸にそびえる異様なホテルが、似合わず奇妙。

本格的に降り出す前にと、車中で動かせなかった体をほぐす散歩を兼ねて、あたりの散策に出てみた。

のんびりとした漁港っぽい古い顔が僅かに見えなくもないけれど、今はホテルなど観光施設が幅を利かしている、白浜町古賀浦。企業の保養所やリゾートマンションが多いのは、船をもやう桟橋が近いからか。けばけばしい旅館街じゃなくて、歩いていても、のどかさに気が休まった。
温泉の夜


大きいというほどではないけれど、小さくもない浴槽に、60℃の源泉掛け流しで、熱くてとても入れない湯が、蕩々。ちょっと水でうめた美肌の湯で、のぉんびり。熱い湯好きな方がいたら、ごめんなさい。でも、フツー、あれは入れへんと思う。



熊野古道麦酒も、フルーティで味わい深い。料理を撮るのに見栄えをいじるのは職業上の癖だけど、今回は、ありのままを報告すべく、いじらずに撮ってみた。飾り過ぎない盛りつけが素朴。犬と一緒の写真撮影サービスも。

Cubの食事は、野菜もタップリのローファット。美味しかったらしく、幾度も食器の底を嘗めていたCub。部屋に戻るとすっかり落ち着き、「旅行って、美味しいなぁ〜」と、満足げ。

窓の外では、対岸のバブル遺産がまるで、ドラキュラ城。まぁ、お笑いアトラクションだと思っておきましょう、かねぇ…。

畳の部屋に布団を敷くと、Cubはその周囲でゴロゴロ。やがて、気持ちの良さそうな寝息が聞こえ、こちらも、釣られて眠りについた。
一泳ぎの朝

翌朝、先ずは雨も上がって天候が回復しつつあった爽やかさの中、散歩に出た。教わっていた道を行った先は、潮の具合によっては魚も入って来るらしい、天然のドッグプール。小さな岬の突端で、海に降りるスロープがあって、Cubを泳がせるにはうってつけ。待ちかねているCubを離すと、勢いよく、ドッボ〜ン。


相変わらず堂々たる犬かきで、清んだ海水をかいて進むCub。これこそ、水を得た魚…ならぬ、犬。ラブラドールの鏡。30分ほど、泳いでは戻るを繰り返していて、止めなければいつまでも泳いでいそうだった。




とりたてて言うことのない和朝食だけど、ご飯もおいしく、おかわりで三杯。Cubも勢いよく、特別メニューを平らげて、ご満悦。

温泉は、三回入るとモトを取るとかって言うらしく、以前有馬温泉に泊まった時には朝も入浴していた家内だが、今回は前日の二回でご満足。二回で三回分、とても効いたという湯は、それはそれは結構でありました。
昔を思い出して
かつて、取材行の世界のあちこちで、様々な宿に泊まってきたけれど、日本の国民宿舎は、結構良質。豪華絢爛なホテルや一流の宿をお望みの方は、とても相容れないのだろうけれど、何といっても、安いその割に、温泉や食事ではさほど、極端に違いがあるわけでもない。例えば、どこでも新鮮な魚が出る漁村でなら、刺身そのものに、よほどヘタクソが切ったりしない限り、差はつきにくいしね。おまけに、醤油はもちろん、和歌山のそれときた。
あとは、人。宿の人たちもにこやかで、何より犬好きでおられる。お陰様で、この旅の一番の理由だった「Cubと一緒の、一泊二日の休み」が楽しく堪能できたのだから、言うこと、なし。お代は、一泊二食付き一人7,900円也(Cubは1,500円。Cubの食事は一食600円)。学生時代の合宿でも思い出せば、こうした宿も、たまには若返って、良いもんだ。
お陰で、とてものどかな気分になって、オープンにしたMGFでざっと観光ドライブと、のぉんびりと白浜を海岸沿いに周ってから、帰路についた。
ドッグカフェに期待
阪和道上りの途中では、風力発電の風車の数に驚いた。いつの間にか、増えたんやねぇ。走ってはしって、Cubのために止まったのが、ドッグランのある岸和田サービスエリア。先客だった芝犬クンがとても良い子で、Cubは、すぐにオトモダチに。遊んでくれて、ありがと〜。


▲自販機のコーヒーにベーカリーのパン。
ドッグカフェが欲しいねえ。
そして、犬連れ旅について
長いようで短い、犬との暮らし。10年〜15年の期間の濃い思い出が欲しいから、旅はとても良いのだけれど、気になったのは、犬の負荷。12〜15時間寝て過ごす犬たちにとって、車での移動の間は、騒音と不安定さや、飛び込んでくる慣れぬ臭いで、落ち着かない辛い時間だろうと思う。

今回の旅にも、そんな気がかりがあった。距離片道150km、時間で3〜4時間の移動に、小1時間のドッグラン休憩を挟んだのは、恐らく正解だっただろう。
とても短い、あっという間の一泊二日。だけど、ドッグイヤーを生きるCubからすれば、とても長い一泊二日だったんじゃないかなぁ。
今回、存分に楽くCubと過ごせたのは、宿の方々や泊まりあわせた方々、帰路のドッグランでお会いした柴クンの飼い主さんなど、一泊二日の時を折おりに共有した皆さんの、お陰。ありがとうございました。
Posted by nankyokuguma at 14:36:57. Filed under: 躾など




