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Friday, September 11, 2009

最近、排気量が少ない=燃料消費が少ない=環境に優しいと考えられがちな軽自動車だが、実は規制数値が甘く、特にCOについては桁違いで悪い。おまけに高速道路を走るとATのターボ車などは特に燃費も悪いのだが、高速道路を走るための安全確保ばかりを理由に肥満化の一途を辿ってきた。ならば…

規制値ベースでCO課税すると…

この際、東京都を筆頭に首都圏でディーゼル規制を続ける1都3県は、ディーゼル車輌で犠牲にしたCOを軽自動車規制でバランスさせたらどうなのだろう。CO2排出量でもハイブリッド車には比肩し得ない最近の超肥満軽自動車に、これ以上、国民車として後押ししたかつての名残の税制優遇を続ける意義があるだろうか。

試しに計算してみよう。2009年3月末現在の1都3県の軽自動車保有台数合計は3,363,550台。例えば、もし仮に一台7000円のCO税を加算したとすると、235億4485万円の税収増。9月4日現在のN-J Carbon価格の1811.2円/tで割れば約12,999,586tで、東京都のCO2排出量(6180万t@2005)の21%+がオフセットできる勘定になる。全国に広げると、軽自動車保有台数の全国計は26,174,477台。うち軽乗用が16,883,230台、軽貨物は9,291,247台。26,174,477台に一律に7000円のCO税を課税すると、183,221,339,000円。N-J Carbon価格の1811.2円/tで割れば約1億116万tで、日本のCO2総排出量13億7千4百万トン(2007年)の約7.4%がオフセットできそうだ。

CO2排出量を自動車だけで賄うと…

他に、古い車や二輪車もCO基準で課税対象に出来そうだが、絶対数から軽自動車ほどの財源にはなりそうにない。で、今度は逆のアプローチ。もし、日本のCO2排出量1,374,000,000t(2007年度)を前述のN-J Carbonの値段で掛けると、その値段は2兆4885億8880万円。これを自動車だけで担うと仮定して、日本国内の自動車保有台数7529万8927台で割ると、一台あたり33,050円。民主党が言う25%を単純に、一気に自動車だけで削減するには、車一台につき8,262円を負担したオフセットが求められる。

これを今度は燃料単位として、自動車の軽油・ガソリン・LPGを合わせた消費量合計92,577,000,000Lで割ると、リッターあたり26.88円である。実際には、オフセットは環境問題解決の免罪符であり得るのかと疑問も感じるし、このような単純な計算だけでは到底成り立たないのだが、それがどのくらいの金銭的負荷にあたるのかは、以上の数字から実感できるだろう。

経済産業省はとっくに自動車税制をCO2排出量ベースに変更することを検討しだしていたそうだが、政権が変わったから、これからどうなるかは分からない。フランスもCO2税を導入したそうで、あちらは燃料への課税だ。CO2については燃料消費率に比例するので、燃料課税が公平ということだ。

制度全体を見直すべき節目

思うに、かつての国民車のような枠はもはや時代にそぐわないのではないだろうか。これまでの軽自動車枠を廃して、高速道路走行を除外した軽量小型のシティコミューター枠などを新たに設けてはどうなのだろう。高速走行性能を求めなければ、もっと軽く小さく、クリーンにすることも叶うのではないか。他にも、クリーンで小型の電気自動車などを優遇するなど、様々な取り組みが成されて然るべきだし、それなりのユニークなアイデア、ユニークな設計のクルマに登場して欲しい。

また、働き者の軽トラックについては、特に熟考しなくてはいけないと思う。普通車枠トラックへの移行しようにも、今はまだ受け皿となる代替車の選択肢そのものがあまりに少なく、このまま単純にスイッチしづらそうなのだ。昔は、かの恰好良いダットラやサニートラックなんかがあったのだけれど。

自動車の燃費には、本体車重が重たい車ほど積載時の燃費悪化が少ないという特徴がある。これは、車重に対して増えた荷の重さの割合が小さい上、重たい車はそれだけ余力のある大きなエンジンを積んでいるからだ。V8 5リッターのフォードF150トラックを所有していたことがあるが、高速道路の長距離フル積載巡行移動時の燃費は7.6km/Lと、存外に、悪いといえどもまぁ良かった。理由は簡単。大きなエンジンは高速巡行に入ると1500回転程度しか回らない。余力が大きいので上り坂だからとふかし込むでなし、ゆったりとオートクルーズで走り抜けられたからだ。逆に、3速ATの軽自動車に大人四人が乗って高速をひた走りでもしたら、呆れるような結果になる。

最も理想的な、経済的かつクリーンな状態の得られる排気量のエンジンを、乗用とトラックで適宜使い分けるのが良いのだろうし、クリーンディーゼルもガソリンも、或いは電気やハイブリッドなども、それぞれ想定される使用状況に鑑みて揃っているのが理想。そして、その最も良いところへピークが移動しやすいように、やはり税制のみならず車検など車を取り巻く制度も全て、改正されるべき節目にある。

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参考 : ポスト新長期規制の内容 国交省サイトPDFファイル65.3KB