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Saturday, September 10, 2011

四半世紀も間が開けば、知っておくべき犬について予備知識もまた、時代相応に変わってくる。シェパードを飼っていた当時の知識だけでは、ラブラドールという異なる犬種には通じそうにないからと、ラブラドールの本を読んだのに始まって、お陰で続々と犬関連本を読んだ。

昔読んだ本の筆頭は、「人イヌに会う」(至誠堂選書 コンラート ローレンツ著・小原 秀雄 訳) 。私にとって、全ては、この本から始まった…

犬を楽しもう

飼っていれば、犬にまつわる小説などにも食指が及ぶ。 「犬になりたくなかった犬」 (ファーレイ・モウワット著・角 邦男 訳) は、筆頭。脱線するが、同じモウワットの 「船になりたくなかった船」(磯村 愛子訳) も、楽しい一冊だった。「愛犬チューリップと共に」(J・R・アッカリー著・外町 絓訳) は、Paul Fierlinger監督でアニメ映画化され、ザグレブ国際アニメーションフェスティバル2011グランプリ受賞。観たいなぁ。

和書では、 「犬をえらばば」 (新潮文庫・安岡 章太郎 著) や、 「仔犬のいる部屋」(講談社刊・江藤 淳 著) が、古いところ。仔犬のいる部屋は、著者が新聞雑誌等に書いたコラムなどの集成で、犬の話は極端に少ないものの、愛犬のコッカースパニエルたちへの愛情は良く分かる。犬との暮らしでは、近代社会での犬のいる私生活への危機感が「犬とたもと」などに凝縮して表れている。

近年の最高傑作と言われるのは、 「犬たちの隠された生活」(エリザベス・マーシャル トーマス著・深町 真理子訳) 。さらに、言わば西洋版の“我が輩は犬である”の 「犬のディドより人間の皆様へ」(ディド + チャップマン ピンチャー 著・中村 凪子 訳) や、前述の「犬たちの隠された生活」は、出版当時、大いに話題になった本だ。

そして、最近では 「マーリー ―世界一おバカな犬が教えてくれたこと」(ジョン グローガン著・古草 秀子 訳)「きな子 〜見習い警察犬の物語〜」 (小学館文庫刊 百瀬 しのぶ 著) などが、映画化もされて記憶に新しい。

以上の本は、必ずしも犬を飼っていたり飼おうかと思っていたりする人ばかりでなく、広くどなたでも、読んで、ある程度楽しんでいただける内容。当然、飼っている、或いは飼っておられた方々なら、自分の犬とストーリーがオーバーラップして、涙なくしては読み終えられない物語が多い。

推理小説ファンなら私なんぞより遙かにお詳しいだろうが、探偵モノで犬の出て来る話は枚挙に暇がない。 「パンプルムース家の犬」(創元推理文庫 マイケル ボンド著・木村 博江 訳) などパンプルムースシリーズのような有名なストーリーもある。

こうして、絶え間なく多くの「犬」と何らかの関わりのある本が出て来るのは、猫も然りだが、いかに犬が人間と親しい、近い動物であるか、だ。

異色なのは、 犬の帝国―幕末ニッポンから現代まで (アーロン スキャブランド著・本橋哲也訳 岩波書店刊) 。 お犬様や忠犬ハチ公といった和犬の歴史と、海外からやってきたカメ(西洋人がcomeと呼ぶのを聞いて、洋犬はカメと言われた)など、とっても意外な、目から鱗の日本のワンコ史。日本近現代史が専門の、スキャブランド北大准教授、よくぞ書いてくださいました。

犬を知ろう

写真

犬の行動学 (中公文庫刊 エーベルハルト トルムラー 著・渡辺 格 訳) や、 カーミング シグナル (テゥーリッド・ルーガス著・石綿 美香 訳 …とても薄いのに高いけど) は、ちょっと気むずかしいけれど、犬の行動を知るのに役立つ本。類似の書籍で詳しいのは、 犬語の話し方 (文春文庫刊・スタンレー コレン 著・木村 博江 訳) や、犬の科学(築地書館刊・スティーブン・ブディアンスキー著 渡植貞一郎訳) など。犬という動物への理解を深めるのには、こうした予備知識も、まぁあるに越したことはないだろう。

子供さんと一緒にめくりながら学ぶには、 犬って、何考えてるの!?(グウェン・ベイリ―著 近藤修 訳 PHP研究所刊) が、写真も豊富で、楽しくて良いだろう。

飼い主さんなら、躾のテクニックをすぐに、かつ簡単に学びたいかも知れない。だが、残念ながら、「すぐに」「簡単に」とは行かない。なぜなら、コマンド一つにしても、反射的に自然に出るようになるまでの間、慣れるのに時間がかかったりするもんだから。まして、「適切に」となると、尚更。最近は大手のペットストアやボランティア団体が躾教室をやっていたりするから、そうした催しに参加するのも良いかも知れない。

その上で参考書を並べると、 犬が教えてくれる新しい気づき ─ 人が犬の最良の友になる方法 ─ (ニュースキートの修道僧著・伊東 隆/いのり訳 ペットライフ社刊) や、 あなたの犬は幸せですか(シーザー・ミラン著 片山奈緒美訳 講談社刊) 。それに、 愛犬の友の犬種ライブラリーから、そのワンコが該当する犬種の本 、といったところだろうか。

飼う前に読むのも、大事

もし、まだ犬を飼う前なら、 犬は「しつけ」でバカになる(堀明著 光文社文庫) は、是非お読みいただきたい一冊。この本、題名と内容の落差の激しさたるや、呆れたほど。これほど思わせぶりな題名にしなくても…と、出版社のセンスに呆れつつ、デリケートな課題に踏み込んだ内容を記した著者の勇気に感心した。

特に、自宅へ貰ってくる時期の記述は、重要。それが間違っているがために、後のち苦労しておいでの方の、なんと多かろうことか。この件は、先頃まで環境省でも動物取扱業の適正化について(案)に対する意見の募集(パブリックコメント)を行っていた、法的にも是正されようとしている課題。

他にも、比較的最近になって定められたルールもあることだし、 動物管理法の概要 、特に 飼い主の方やこれからペットを飼う方へ は、必読。例えば、家庭動物等の飼養及び保管に関する基準の第4、犬の飼養及び保管に関する基準には「犬の所有者等は、犬をけい留する場合には、けい留されている犬の行動範囲が道路又は通路に接しないように留意すること」とあるが、さて、そんなん知らないんだろうなぁ、という飼い方は、そこらじゅうで見られる。この環境庁の基準に加えて、各自治体による条例なども、あれこれと定めているから、役所に問い合わせたり、ウェブサイトを閲覧するなどして、一通りは目を通したほうが良いだろう。

そして、現実の、犬のいる暮らし

かくて、多くの本を読みあさっては、頷いたり首をかしげたりしてきたのだが、要は、自分とワンコの暮らしに適した、或いは当たっている部分を参考に、より良くなるように知恵を借りて試すことだろう。別に、その理屈の根拠が何だろうと、正直、知ったことではない。私は動物行動学の学者ではなく、愛する、生きた犬の飼い主。だから、学説は学者さんたちに任せて、そのワンコと一緒に居られる短い歳月を、精一杯楽しいものに…したいよね、と思うのだ。