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南極熊アイコンSilky Pix

April 14, 2004 - August 4 変更加筆

SILKY PIXというユニークなRAW現像ソフトが登場した。この記事はまだベータ開発中のもので、試用の上ご意見募集とのことだったので、ドッグフード(β版)を頂戴(ダウンロード)してみたもの。現在は既に市販ヴァージョンがリリースされ、アップデートが繰り返されて一層磨きがかかっている。

このβがリリースされたのは、ちょうど忙中閑ありのタイミングで、早速テストしてみたが、これが驚いたことに「凄い」。細かいことはテストしたのがベータ版であるが故で、意見募集までかけて磨き込んだ、そのユーザ−本意の姿勢に、先ず拍手。さて、ポイントはその根本のご利益であるデジタル現像だ。

同社サイトhttp://www.isl.co.jp/SILKYPIX/japanese/index.htmlに曰く

SILKYPIXは、色と輝度の分解能を限界まで確保した上で、偽色・ジャギの発生を非常に高いレベルで抑え込み、さらに、色、輝度ともに高いS/Nを確保することに成功しています。 結果、滑らかでヌケが良く、極めてクリアな映像を生成することができます。限界解像度が高いために、過剰なシャープネス処理も不要になり、輪郭においても、豊かな階調表現が可能になったのです。 まるで、粒子荒れのまったくないフィルムで撮影したような映像。 そんな精緻で豊かな色彩にあふれる映像を手にすることができます。

そして、実際、その効果の一つが手許で得られた。私がこれまでRAWモードを頻繁に使ってきたのは月の写真。あのグレー面の滑らかさ具合を再現しようと、RAWモードでなおかつ複数枚をコンポジットし、 なおかつアンシャーペンで甘さを補ったりしていたのだが、さて…

現像後の画像比較(縮小画像のダンプ=比較サンプルの価値はありません)─クリックでTIFF画像表示先ずは四枚の比較ネタをご覧に入れる。これは望遠鏡の調整が甘かった頃の撮影で、ちょっと全体を見ていただくには恥ずかしいのだけれど、テストピースとして使った。(だから、望遠鏡の調整が甘い部分は突っ込まないで…) ちょっと大きめのものはTIFFでリンクしているが、これは縮小表示のダンプ画像で、比較サンプルではない。

現像時の調整がかなり微妙なので、フォトショップではあえて微妙に違えた二種類の現像結果にした。また、天体画像の処理でやはりRAWに対応しているStella Imageも比較対象にした。

撮影はCanon 10D。望遠鏡はOrion 300mm f4で、論理上色収差のない反射式。収差を補正するバラコアも使っていない。 なお、以下各画像もクリックで拡大表示するが、圧縮すると圧縮ノイズの影響で比較しづらくなるので、全て無圧縮のTIFF画像であることをお許しいただきたい。現像後の部分拡大画像比較─クリックでTIFF画像表示


上の各画像の部分を拡大比較している画面をダンプしてみたのが右。グレー部分の滑らかさ、ノイズの少なさでは、SILKYPIXとStella Imageは五分。だが、現実にはStella Imageの画像はまだまだフォーカスが甘いのに対して、SILKYPIXやPhotoshopでは、このままでもOKかという程度にそこそこシャープな画像にできている。なお、16bit処理のStella Imageは処理が非常に重く、PentiumIV 2.8GHzに2GBのメモリを搭載したWin2000のPCでも待たされる。これに対して、SILKYPIXで保存設定8bitでは確かに処理速度は早く 、特に待たされる感じはなかった。環境設定で16bit保存 を設定した場合は、8bit時と比べたら待つような気もする程度。処理中のCPU負荷率も見てみたが、50%程度がピーク。ただ、解像度はオリジナルが240ピクセルのところ、72ピクセルと表示されていたのが気になった。(2005年2月補足─現行の市販版では指定数値は変更できる)

上及び右のように現像を終えた画像に、さらに大凡具合が良いと思う程度にアンシャーペンをかけたものが下。Stella Imageはややシャープさに欠けるが、滑らかさではかなり近い。一方、Photoshopではグレーの部分の滑らかさが損なわれているのが分かる。実は、私はこれを嫌って、これまで月の画像をコンポジットしていたのだ。

アンシャーペン後の部分拡大画像─クリックでTIFF画像表示
こういう結果を見せられると、より良い作品でどうご利益があるか試したくなる。その結果(どちらも単画像)が下(クリックで コペルニクスクレーター周辺の部分拡大TIFF画像を表示)。これまでのコンポジットの苦労は何だったのか、と感じてしまう。

アンシャーペン後の部分拡大画像─クリックでTIFF画像表示


これでもう、RAWの多枚数コンポジットの必然性が一つ減る。それほど、このRAWの現像時の処理は、画像の出来栄えを大きく左右していたのだ。時として「これならJPEGで一杯撮っていたほうが、後も楽で良い」なんて思っていたのが間違いだと悟るのに十分な結果。デジタル画像はまだまだ大化けする可能性を秘めていると嬉しくなったし、SILKYPIXがリリースされた暁には、プロのデジタル写真、特に商品などのシビアな再現性を求められる分野では、ほぼ必須のアプリケーションになり得る──そんな予感だ。

クリックで完成画像大解像度版を表示


左が上右の画像のSILKYPIXで現像した画像を左90度回転の上でトリミング、低圧縮率のJPEGで再保存したもの。同作品のStella IMageでの13カット合成+Photoshopによるものと比較してみると、SILKYPIXによる単画像がどれほどのものか、良く御分かりになるだろう。 なんと、13枚コンポジットの画像にも勝る結果が、単画像で得られてしまったのだ。

そんな同アプリは昨2004年8月、ついに市販版になった。RAW現像によるデジタル画像のクオリティアップを、あなたも、自分の撮影した画像で体験してみては如何かな。

[SILKYPIXのWebサイトへSilky Pix banner]



部分拡大画像─クリックでTIFF画像表示

[補足情報1] じゃあ星雲ならどうなの、というのでオリオン大星雲を10Dで撮影したものを現像してみた。やはり効果ありで、右のとおり。

これをさらにコンポジットするなら、もっと良くなる…?? それは、またそのうち。

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