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Sunday, September 30, 2007

Nokiaの電池交換をきっかけにこの充電池の話を書き始めたのだが、今日、洒落にならないことが起きた。asahi.comが伝えるところでは、30日午後0時20分頃「携帯電話やノートパソコン用のリチウムイオン電池の充放電試験をしていた」(守口市門真市消防組合消防本部による=同記事の記述)松下電池工業の作業場から出火…

し、「けが人はないが午後3時現在も燃えて」いたそうで、ヘリから撮影されたという、もうもうと白煙を上げる同社ビルの写真が添えられていた。asahi.comの続報によれば、火事は夜まで燃え続け、出火の7時間半後にようやく消し止められたそうだ。

エンドユーザーのところで燃えたわけではなく、メーカーの実験段階で燃えるというのは、私が思うには、燃え出すのも前提にあっての実験なのだろうから(起きないに超したことはないのは当然だけれども)それなりに「良いこと」(あり得ること、想定できること)なのだろう。だが、こんな大きな火災になっては、一体どんなところでどんな実験をしていたんだろう、と思っていたところ、続報が「消火器などはあったが消せず、電解液などとして使うエチレンが大量にあって消火に手間取った」と伝えていた。充放電実験の最中とあっては、先のNokiaの件と重なり、松下製電池のイメージ悪化の懸念もあるだろう。

だが、リチウムイオン電池にはもともと「有機溶剤を使用しているため、高温で発火する危険性がある」という特性があるのだそうで、それをいかに安全な電池にするか、技術者の方々が努力を重ねてこられたおかげで、私たちユーザーは現在の便利さを享受しているのだ。今回の火災も、そんな努力の繰り返しの一つが原因だったと信じたい。実験では完璧に動作することばかりでなく、想定しないような結果が出ることも繰り返しの検証の中から把握し、不具合があれば原因を究明して回避策を立てる ─ そうやって初めて、世に送り出しても良い、燃えたりしない安全な電池が製造されるのだと思うから、だ。

いずれにせよ、住宅地に立ちこめた異臭に害はなく、人的被害も出ていないのが幸いだった。週末も休まず実験を続けていたのだろうから、気の毒に感じてしまう。繰り返しになるが、この火災は、エンドユーザーの手許での火災とは全く違う話なのだ。ご関係の皆様にはお見舞い申し上げたい。