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Thursday, August 30, 2018

9月5日発表と噂される、キヤノンのフルフレームミラーレス機。蓋を開けるまで迂闊なことは書きたくないが、それでも、あれこれ頭に浮かんでは消える。そこで、楽しい想像の日々を送りながら、先々もちょっと、夢見てみた。

先ずはおさらい ミラーレスの〇と×

ミラーボックスとペンタプリズムが要らない =

  • 製造コストが下がる
  • 重量が軽くなり得る
  • 大きさが小さくなり得る
  • 機械的構造がシンプルになり、耐久性を得やすい
  • TS-Eでミラーボックスのケラレが起きない範囲が広がる
  • ミラーショックがなくなる = ブレ要素が減り、画素数を増やし易い。ミラーアップ撮影不要
  • デジタルムービーとの親和性は高い(光学ファインダー利用状態の一眼レフはデジタルムービーが撮れない)
  • センサが焼ける恐れはあるが、太陽などを撮りやすい
  • フランジバックを短くもできる = アダプタで様々なレンズが使える「かも知れない」
  • レンズ設計上フランジバックの長いもので培われてきた技術があるので、バックフォーカスが短くなっても、レンズ性能上はそう単純ではなく、必ずしも良くはならない
×
  • ライブビューモニタのため、超望遠では著しくターゲットの捕捉が困難
  • ファインダー像が被写体を反映せず、追尾が難しい
  • 本体の小さなモニタでは、絞り込み機構で被写界深度を確認し辛い
  • 撮った瞬間の画像は見えない(光学レンジファインダーや二眼レフは見える)
  • 電池の消耗が早い
  • 熱ノイズが発生し易い

以上のようなところが、〇と×として掲げられると思うが、但し、一部はミラーレスでなくとも、ライブビューがあれば叶う。

ここで、ミラーボックスがないことの最大の利点を挙げるなら、特殊用途とも言えるアオリレンズでのミラーボックスでのケラレは別枠として、なによりもミラーショックレスだろう。そして、そのミラーショックレスの恩恵が受けられるのは、5Dsのような大解像度機だ。

画餅にあらず

キヤノンは既に2015年、1.2億画素のEOSコンセプトや2億5,000万画素CMOSセンサーをCanon EXPOで展示していたし、検査用カメラ用でAPS-Hサイズ11.2億画素CMOSセンサーの120MXSMを本18年7月から量産販売している。つまり、億単位の画素数を誇るカメラは、センサーだけを見るならとっくに出来ている。

実は、5Dsが登場した時、最も懸念されたのが「ブレ」だった。空シャッターを切ると、それまでの機材とは異次元のショックの少なさを実感したが、それでも、使って見るとあに図らんや、ミラーアップをかけないとブレる。それまでには経験のない次元で、微妙な揺れが像に如実に出てきたのだ。

写真
↑ 性能を上げれば、大きさや重量も必要となるが…

レンズがキモ

ミラーレスであれば、ミラーショックへの配慮やミラーアップといった対処は無用になる。つまり、解像度を上げるにあたっての障害が減る。とすれば、フルフレームミラーレスでの最大の目標は、超高精細ではないだろうか。

それは、噂の機材のレンズマウントにも垣間見られる。曰く、Rマウント。EFとは違うマウントのレンズを出してくるということは、設計基準解像度が違うレンズラインアップが用意されると考え得る。五千万画素までは既存のLレンズでも対応可だったが、その倍ともなれば、さすがに無理があってもおかしくない。だから、ラインアップが揃わない当初は、様子見をかねて五千万画素までのボディとし、Rレンズがある程度増え、フルフレームミラーレスが市場に受け入れられたのが確実となった段階で、億単位の世界へ飛び込む、という筋書きはどうだろうか。

何より、高性能のLレンズ群の巨体を見れば、それが1億画素のレベルに対応すればどうなるのか、一抹の不安は当然、つきまとう。キヤノンにはDOやBRといった軽量小型化のための技術も既にあるわけだが、やはりレンズこそが、一番のキモだろう。

その時まで、どのくらいかかるか

私は、案外早いと思っている。と、いうのも、中判大解像度機材のレンズラインアップは、相当にプアだからだ。

イメージサークルが大きくなれば、レンズも大きく重くなる。そうおいそれと揃えられるものでもないというあたりでは、価格面での悪循環が起きる。現実に売れる本数の少なさと、ゆえに高価になり、だが高ければ売れないという悪循環だ。それを、先ずは既存の解像度の世界からスタートさせ、ユーザーが未来を感じて投資を重ねてくれる中で、順次Rレンズを増やし、億単位デジタル写真の世界への布石とするのだと見れば、納得し易いのではないか。

最低限、広角と標準、軽望遠域までの四本…焦点距離で言えば、例えば12-24mm・24-85mm・85-135mm、それに200-300mmといったレンジでの超高精細対応のレンズが揃えば十分にスタートラインに立てるだろうし、案外、ズームで実現してくるのかも知れない。

解像度一億画素以下ではEFを使えて、それを越えればRレンズで、という対応は、実にスマートであり、時間軸面でも、移行が円滑になるのではないだろうか。何より、実際に一億画素を越える世界を必要とする人はそう多くはない…普通、先ず要らないのだが、だがそれでも、超高解像度、超リアルの世界には、惹きつける響きがある。

そのついでに望むこと

Rレンズで億単位の世界が開けるなら、一方でカメラ自体のみならずシステムとしても小さく軽いAPS-Cでも、より一層の高みを望みたい。マイクロフォーサーズでもライカレンズで数十万円なんだから、EF-Mにも、Lやそれ以上のクラスのレンズがあったって、良いではないかと思うのだ。やがて、APS-CのMながら一億画素なんて機材が……出るか出ないか。物事のあらゆる発展が、物凄い速度で加速している今、これまでのことを踏まえただけではもう、明後日は見えないのだ。