Skip to main content.

Sunday, August 19, 2018

万一のバックアップの意味も含めて、初代EOS Mをずっと使ってきたが、どうにも諸々、遅いだなんだって不都合を感じだしていた。特に、マクロレンズを使ったときのAFの遅さは、救いようがなかった。で、この際だからと4K動画の機能も含めて、消去法やなんかで、悩み抜いた機材選定だが… 私の結論は、M50(日本ではKiss M)。

比較した機材は、LeicaのAPS-CやFujifilmのX-E3、PanasonicのGX8など。いずれも4K動画対応で悪くはないが、手ぶれ補正機能のありようやレンズ選定、持っている機材群の中での位置づけと互換性などで、断念。一度使って見たかったFOVEONのSIGMAも、その巨体もあって諦めた。

もうお分かりだと思うが、今回の選定では、値段を考慮していない。もちろん、システムとしてレンズごと導入せねばならない他社製機種は、キヤノンに比べて費用面では大幅に不利だ。それでも、一度は対象としてリストし、その上で熟考したかった。それほど、ここ1〜2年の変化は地味ながら、大きい。

写真
望遠側で10mm狭まった、軽い標準ズーム

今回チョイスしたキットのレンズは、15-45mm。初代についてきたのが18-55だから、広角側で3mm広がり、望遠側で10mm短くなった。性能面ではテレ側の改善が大きいのだが、御利益は全長にも出ていて、収納位置で16.5mm短い。もっとも、フードが28mmだしボディも厚い上に前述の突起があるので、初代にHoocapをつけた状態で収まっていたケースには、入らない。重さでは210gに対して130gと、80g…割合にして38%ほどと、大幅に軽くなっている。

撮っていてあと10mmと感じるシーンよりは、もうちょっと引けないかという悔しさのほうが大きいかも知れない。3mmと侮るなかれ。広角の28と24では、月とすっぽんほど違う。

「元のレンズがあるなら、ボディだけ買えば」と思われるかも知れないが、そうは行かない。ベイブルーの初代はそれなりに気に入っているから、使える状態でホールドすると決めていたのだ。

なんちゃって一眼で居直られるのか

届いたボディを手に取ってみれば、なるほど、思った通り軽く、ホールディングし易い。モニタで見て撮るしかないのではなく、しっかりビューファインダーを重要視したデザインになっている。

だが、そのために犠牲になった部分は、実は最後まで気にくわなかったところ。つまり、ペンタプリズムがあるわけじゃないのに、軍艦部にファインダーが突出していることだ。これは、レンジファインダー風に処理しているX-E3とは全く逆で、その昔の揶揄表現で言う「なんちゃって一眼」で居直ったようなもの。レンジファインダー風が良ければM6を、ということなのは分かるが、M6では4K動画が撮れない。

写真
一方、備わるバリアングルモニタはすこぶる具合が良い。目一杯のローアングルなど、大きな筐体では成し得ない撮影がこの小ささで、手軽に叶う。これよりももっともっと小さな筐体でなければいけないなら、同時にかなりの機能を犠牲にしざるを得ず、その代表がSONYのRX0だ。それはそれでそれなりに、で存在意義はあるが、素直に広く使えるカメラである上での事とすれば、実に有り難く、G7Xのチルトタイプではできなかった使い方も叶う。

では、なぜそのファインダーの突起が嫌か。理由の一つは、バッグ類にある。この突起のあるボディが素直に、俊敏に取り出せ、収められるカメラバッグやホルスターといったものが、おおよそ皆無なのだ。

写真

とても持ちやすく、とても撮りやすい。しかも、起動もAFも俊敏だから、あっと思って取り出せばすぐに撮影できる。でも、どこから…と。

写真
ライトスクープが使えない

ペンタプリズム様の突起部分内蔵ストロボがあると言われれば、んじゃあライトスクープも使えるのかと思って、装着してみた。すると、なんとアクセサリーシューに何かがついているというのを検知して、ストロボが発光しなくなった。検知できないギリギリのところで止めて、フラフラさせつつも押し込まなければ、GX200の時のように底に蓋をすれば、使える。だが、M50では名刺大の紙一枚を使ってやったほうが、よほど手っ取り早そうだ。

そういえば、キヤノンはバウンスを自動化したストロボなんてのを先頃発表していた。あれも、あんなことを自動化して欲しいんじゃなけどなぁ、と思わされた。バウンスでの色温度調整をしっかりやってくれるとかって言うのなら、良いんだけど。

この、ライトスクープのようなアクセサリを、メーカーが考えて出してくれたって良いよぉなもんだとすら思うけれど、難しいんだろぉね。フードすらつけない人が多いんだから、バウンスなんてしないよなぁ…ってことか。

写真
±ダイアルは、ない
M50ではなく、Kissシリーズ

日本国内では、KissシリーズのミラーレスになってしまったM50。販売戦略上のネーミングだろうが、これも、還暦の男性として買う上での心理的障壁だったのは、正直に言っておこう。そして、その位置づけ故だか何だか知らないが、PowerShot G7Xですら上面ノブで出ている露出のプラスマイナスが、二段操作。これは、減点100といいたいところだ。マニュアルモードがあるにはあるが、絞り環とシャッターダイアルという馴染みの動作ではいじれない。そんな面では、Leicaは「さすが」だ。もっとも、Leicaでは、イマドキのデジカメにつきそうな手ぶれ補正機能が、APS-C版でも備わらない(OISを備える、高価なズームレンズが二本あるだけ)。

こうなったらあとはもう、じきに発表されて、来年にも発売されるんだろうフルサイズミラーレスにも期待したいが、APS-Cミラーレスというのは、マイクロフォーサーズにも似て、小型軽量・高性能のカメラを得るには良いセンサだろうと、そう思っている。フルサイズにすれば、自ずとレンズは大きく重くならざるを得ない。イメージサークルが小さくて済むAPS-Cにはだから、全体に小さく軽く、それなりの意義があるのだ。

それにしても、まさしくミニチュアデジイチのような、M50。使い込んで行くのはこれからだが、果たして私にどんな使い方を思いつかせ、成果をもたらしてくれるだろうかと、実物を入手した今、期待している。