かくて、Backupでの復旧が有効かどうかを試す機会がきた。だって、普段何ともないのに復旧させてみるなんて、先ずやらないだろうからね。結論から言うと、ちょっとヤヤコシイが、できた。
なんでヤヤコシイことになったかというと、もともと本体のドライブの同じ製品を買い足して二つにしていた。RAIDを組もうと思って買ったものの、インストールし直すのが面倒でサブドライブ的に使っていたのだが、その中にバックアップファイルがあったからだ。前述のようにRAIDに移行しようと目論んだまでは良いのだけれど、そのためにはバックアップファイルを退避させないといけない。で、先日、デジカメデータのために外付けLaCie製HDDを買っていたから、先ずはセカンダリドライブにOSをインストールしておいて起動し、データをLaCieドライブへ退避させた。ほかに、ブートディスク上でまだ読み出せるPreferenceファイル群などもLaCieドライブへコピーして、復元材料を二重化し、準備完了のつもり。ディスクユーティリティで消去の上、検査してからRAIDを組む。このステップは簡単で分かり易い。組んだRAIDへシステムインストール。存外に早く終わる。
最初は、Retrospectでバックアップしたファイルを復元させようとしたが、これは完全に失敗。恐らく旧環境と新環境が違う(前はRAIDではない)せいだか何だか、復旧できないと言ってくる。あれこれ悩んだ末なんとかライブリストア機能で復旧させようとしたところ、動いているOSのファイルを上書きではなく最初に消去してから書き戻すという振る舞いに出た。結果、書き戻しができずに「復元に失敗」でアウト。なんと、ヨタヨタと動いているOSはアプリのアイコンだけを表示していて、それをクリックすると半透明化し疑問符を表示してくる。これは初めて見た。ちょっとユニーク…って、喜んでいる場合じゃない。
続いて、再びインストールし直してから、今度はBackupで作ってあったファイルから復元。こちらも、差分からは復元失敗。しかし、大元の完全バックアップのファイルにトライすると、うまく行った。これで大半のアプリケーションのPreferencesは戻り、アプリを再インストールすれば元通り動いたり、まぁIDくらいは入れないといけないものの、基本的には動き出した。
かくて、あれこれ再インストールを続けて、問題発生から24時間でほぼ元通りになった。Backupを復元するなんて、普段は先ず経験しないし、したくもない。でも、仕事の環境をどうあっても確保するためには、自ら復旧させるスキルは要る。
今回はオフィスのデスクトップだったが、昔、ロケ先のノートの復旧なんてこともやったことがある。それも、毎日。それは、WindowsのIBM ThinkPadで起きた。Windows3.1仕様のノートに強引にWindows95をインストールしていたのだが、何が壊れたか先ずスクリーンが半分しか表示しなくなり、次いで、インストールした初回は良いのだが、再起動することができない代物になりはてた。だから、昼間の取材が終わって宿に到着する都度、レンタルしてきたCRTモニタをつなぎ、インストール。インストールを終えた環境でデジタル画像の処理を行い、記事を書いて送信。何かあったらいけないから翌朝の出立寸前までそのままホールドし、その日の取材を終わったらまた同じインストールからの作業。これが一週間ほど続いたのだ。
ロケ先は米ワイオミング州で、日本語OSをどうこうするなんて、あり得ない。新たなマシンを買って整備する暇もない。なぜなら、当時のWindowsはグラフィックドライバが日本語表示と密接に関係していたのだ。しかも、それは「今だから言えば」と散見されるWeb上の情報によれば、サービスパックがリリースされるまでは自ら壊れながら動いていたらしい。思い当たる節が多々あるその話は、今となっては背筋の凍る薄氷の上を歩き、しょっちゅう復旧に手を取られ、その都度スキルレベルが上がっていった現実を裏付けている。こんなことでスキルレベルが上がるのは、ちっともうれしくない。
さて、今日の話にもどってMac。インストールそのものは簡単だが、別なドライブへまるごとコピーという手がどうやら一番良さそうだ。今回はRAIDを作ることもあって面倒なステップを踏んだが、ブートできるサードドライブを予備環境に持っておいて、そこからブートさせて復旧という段取りがとれるような態勢が一番簡単かつ確実だろう。
それにつけても、バックアップソフトの復元作業のなんと面倒なことか。バックアップそのものは自動化されるなどしているのだけれど、復元の易しいソフトってぇのは、できないものかねぇ。いざというときのためとはいえ、外付けHDDを遊ばせておくのももったいないよぉな気もするが、かといって使えば傷んでしまう。プリインストールされて届くニューマシンは、RAID化するにはゼロに戻さないといけない。最初っからRAIDでミラーリング化する機能がデフォルトで用意されたワークステーションなんてぇのができるなら、これからの鍵になるかも知れない。半年ほどのタイムラグでRAID化すればHDDの寿命が変わるから、同時に使いだすよりも、理想的な継投状況になり易いように思うのだ。
もう一つの切り札はSMART。サーバーは無論、Windowsでもかなり知られてきた機能で、エラーや温度を検知して故障を予測するアプリケーション。この手の機能は、コンピュータのみならず、最近流行のHDD録画機器でも必須なのではないだろうか。
Mac・Winを問わず、多くのユーザーにとってHDDトラブルとその復旧は、普段は最も縁遠く、起きたら地獄のような目に遭わされる悲惨な出来事だ。今やデータが巨大化したため、その時に犠牲になる時間も伸びた。なんとか、これを簡単確実に済ませ得る方法を見いだして欲しいと思う。動いている品から新品への環境移動は自動ツールもできて簡便になっているが、壊れてしまったところから救い出すのは未だに難儀。そのくせ、そんな難儀な問題がいつかは必ず起きるハードディスクに頼る状況は益々色濃くなっている。ここから先、私たちが築く未来が脆弱な基盤の上に立つか盤石の態勢の上に立つか ─ HDDにまつわる問題は、それを左右する重要課題の一つだと思うのだ。
Posted by nankyokuguma at 09:54:58. Filed under: Apple
