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Tuesday, July 08, 2014

テロ防止のため、航空機の搭乗前検査が厳しくなって、もう何年になるだろうか。X線検査に対抗して、フィルムはISO1000クラスまで大丈夫という鉛の防御袋に入れていた。が、デジタル化であの重たい袋こそ不要になったものの… 3.11以後一層厳しくなった検査に、時としてゲンナリするのは、私だけではないだろう。

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疲れ果てた旅人が漂着する待合室
5月初旬、私は久々に渡米した。機材は以前のように、機内持ち込み。当然、搭乗前手続きでは、カメラもMacも、iPhoneもX線検査を受ける。おおよそ、金属でありそうなものはすべてX線を通してひっかからないようにするのだけれど、日本からホノルルへ渡った国際便よりも厳しい検査が、米国内便で待っている。

それは、あの全身スキャン。まるで、SF映画のセットにいる気分になる。靴も脱ぎ、パソコンは取り出し、何から何までX線検査装置を通し、ようやく搭乗が許される。が、これまではうっかり電池が切れていてもOKだった。

ところが、これからは必ず電源がONにできなければならず、電源の入れられない機材は置き去りにせねばならない他、持ち主も追加の検査を求められるというのである。これは、アメリカへの直行便全てに求められる処置だから、アメリカに撮影に行こうとするなら、少なくとも予備電池を用意して、搭乗検査の前にそれがオンになると確認しておかないと、カメラ没収の憂き目に遭うということだ。

PetaPixel / PSA: Charge Your Camera Pre-Flight; the TSA Could Take It if It Doesn’t Power On

旅行者の安全を守るための措置、というのは良く分かる。分かるけれども、これにはひっかかる旅行者が出てきそうだ。プロはまだ予備電池を常識的に持っているが、そうではない観光客の方々の場合、出発前にあれこれやっているうちに電池残量を食い尽くす可能性がありそうだから、ご注意を。

それにしても、飛行機旅のなんと面倒臭くなったことか。前後の、検査を含めた時間や待ち時間を加味すると、どんなに飛行そのものが速くとも、かなりの時間を要する。自ずと、日本国内なら新幹線より遅い結果になる。おりしも、新幹線50年史を綴った7月6日付日経朝刊15面「日曜に考える」で、ANAホールディングスの伊東信一郎社長は、この50年がどうだったかという記者の質問に「速度でいえば遅く成った歴史だ」と答えられている。東京大阪間片道の最短記録は27分だが、現在はダイヤ上1時間15分かかるといい、それは直線で飛べず航路が規制された上に混雑しているからだそうだ。なるほど、そういえば確かに昔、富士山を機窓から見下ろしたことがあった。今では、はるか彼方にその雲から飛び出した山頂を認めるだけだ。

でも、海外渡航では飛行機にうんざりして船にする、というわけにも行かないから、難しい。実は、愛犬連れでのんびりどうぞ、って船があったら、貨物船乗り合いでも喜んで利用してみたいのだけど…

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