それが、往々にして「さぁ仕事を始めようか」というタイミングで始まり、キャンセルしても幾度もバルーンメッセージで警告してくるから、煩わしいことといったら、ない。そんなことがないだけでも、MacOSにした有り難みはタップリだ。
ところが、Tigerになったとたん、.MacサービスからVirexが姿を消した。Tigerのインストーラーで出てくる.Macの広告中で、Virexをアピールしているほどなのに、だ。原因はどうやらVirexのTiger対応が間に合わなかったから、らしく、その振る舞いから察するにどうもApple自身が被害者という感覚でいるようなのだが、Virexの金銭対価を先払いしながら使えなくなったユーザーにはどうしてくれるというのか。
そりゃあ、MacOSに感染するウィルスが猛威をふるったことは、確かに「ない」。しかし、今迄なかったからといって、これから先もないという保証もまた、ない。Virus対策が「転ばぬ先の杖」なのは常識。
さらには、受信したメールの転送にあたり、そのメールが感染していないかどうか確認できない。つまり、Windowsユーザーもいる地球上で情報を交換しあうのに、そこでウィルスを塞き止めることができず、一歩間違えば感染の広がりを助ける結果になる。それが、業務で開かざるを得ないMS Officeファイルのマクロウィルスなら、自分に被害が及ぶ可能性もある。「備えあれば憂いなし」だったのになぁ…。
しかも、この障害、対応していないのに気づいたのは、他のタスクがかかっていないときにCPUリソースの90%以上(ほぼ全て)をVirexが占拠していることがアクティビティモニタで分かったから。それにしてもTigerは重たいなんて思っていたら、なんのことはない、これも未対応アプリによる障害だったのだ。こんな重大な問題があったら、アナウンスするよなぁ、フツー。それがないどころか、さらに売り込んでいても通るAppleとは、と呆れることしきり。
そして、何より、金銭対価を受け取っていながら、事情があるにせよサービスを打ち切らざるを得ないのだから、それなりに謝るなど、とるべき態度がありそうなものだ。それが、諸サイトに紹介されている、ユーザーの問い合わせに対するApple Japanからの返答メールなどから見るに、自分も被害者だと居直ったような態度なのは、いかにもよろしくない。Appleは.Macサイトに陳謝の言葉を掲載するどころか、いつの間にかこっそり引っ込めた(以前のページ [ 日本版 | English ] はGoogle検索すれば「まんま」出てくる)。情報はすべて、Apple社サポートフォーラムや巷のMac関係BBSなどでかき集めるしかなく、オフィシャルなアナウンスは皆無。
こんな態度が許されるあたり、いかにAppleという会社がシンパから過保護にされているか、だ。IntelやMicrosoftならこうは行かない。いや、おおよそこの世のあらゆるビジネスで、こんな居直りが許されることは、まずあり得ないだろう。私のようなユーザーにも、アップルのやることはビジネスとして話半分か、という経験則を植え付けたのだ。普通なら大打撃。だが、驚いたことに、怒らないどころか、「私ゃVirex使ってないし…」ってな態度のユーザ−群が相当な割合にのぼり、どうやら私のように怒っているユーザ−のほうが少数のようなのだ。いやぁ、Appleってシアワセな企業なのねぇ…(皮肉です、ムロン)。
Pantherで半年続いた心理的な蜜月は、これをきっかけに崩れた。Tigerになってからというもの、対応しないアプリケーションの不具合が、当然とはいえ「出る」。10.3.9から出ていたJavaのバグも、まだ収まっていない。Safariで日本語サイトをサーフィンすれば少なからず文字化けに出くわす(metaタグで指定してあろうがなかろうが、文字コードの解釈がうまくできない)し、Javaの使われようにおっては落ちる。ただ、その都度Appleへ報告する機能は、ようやくちゃんと動き出したので、怒りのガス抜きはできる。Adobeアプリは時として「落ちる」。ことえりは漢字変換が打ち込み速度に追いつかず、そのままアルファベットを確定するときがある。こうした不具合は以前からあったそうだが、どうやら、Tigerになっても全く修正されていない。全角と半角の区別がつかないフォントでは、そのせいで全く入力できない応募フォームなどが現実にあるというのに、これまた問題にするユーザーが少ない。そぉいうときはWindowsでやるんだそぉな。
日本市場なんて小さいのだろうから、日本語版はどうでも良いって感じなんだろうか。アップルジャパンなんて、アメリカを向いて鼻を茶色く染めるばかりなんだろぉなぁ…。ウィジェットの日本環境未対応の部分など、Appleが自慢している機能で、日本のユーザーにはちっともありがたくない(磨き込みが足りない)ところも、ある。
ドル箱iPod+iTunesの音楽販売も、あれほど欧米各国でやっていながら、まぁだ実現しない。もっとも、実現したとたんに、内容が日本市場に特化したら、それはそれで凄く嫌なのだけれど…。ところで、今、ちょっと気になっていること ─ iTunesで日本でも音楽が買えるようになったとき、あの国別の丸いアイコンはどうなるんだろう。白地で一部がまぁるく赤いボタンになるんだろうか、それとも、真ん中が赤で周囲に白い縁取り?? はたまた、真っ赤な丸かと、つい考えてしまう。
そんなこんなで、蜜月を過ぎて倦怠期。Pantherで「ひょぉ!」と喜んでいたのもつかの間、Tigerで「トラぶり」、「トラぬ狸だったか」と、ぬか喜びからさめてうんざりする目に遭っている。だからといってWindowsに主軸を戻すなんてことは、どう考えてもあり得ないから、私もかなり林檎毒に侵されてしまったか。
実際、メクジラ立てて悪いところを書いたけれど、日常的に仕事をしていて、Windowsでやっているときとは比較にならないほど着実に仕事をこなせている。それを、Windowsが酷すぎるのだと思うのも一つだが、Macにもっと良くなって欲しいと願う気持ちが強いし、また、その可能性はあると信じたいのだ。今回のような発売と同時のアップデートは、もう金輪際やらないと思う。使っているアプリが完全対応をアナウンスしてから、ようやく腰を上げるくらいで良い。それは、Windowsでサービスパックがリリースされるまでは変更しないのと同じ、経験から得た保身の知恵。英語版でなければ尚更、使っているアプリケーションの対応具合を、人柱さんたちの動向から見定めなくてはいけないようだ。(でも、皆が様子見を決め込んだら、誰が人柱になるんだろぉ…)
多くのMacユーザーが、しかもベテランであればあるほど、贔屓の引きたおしでしかない態度でいるのは、いかにも残念。それが、Macのシェアが増えきれない一因になっていないと言えるだろうか。例え販売数が倍増しようと、シェアが倍になろうと、PC全体からすればほんの微増に過ぎない。先頃、Windowsサーバーの出荷率がUNIX系を上回ったというデータが発表されていたが、それは同時に、大げさにいえば、私たちの社会を支えている情報インフラの基盤が脆弱化していることを意味しているように、私には思える。Macには、まさに、十字軍の使命があるだろうと思う。私たちの未来を堅固な情報インフラの上に据えるという、大事な使命が。OS Xには、明らかにその使命を担い得る可能性があると、私は思うのだ。
Posted by nankyokuguma at 15:39:44. Filed under: Apple
