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Friday, May 20, 2005

散々悪態をつきながら使ってきたボケ茄子だが、重要な仕事が続くとあって、故障の恐怖のほうが勝る。連日、いざというときに故障する悪夢にうなされるようではたまらない… そこで、Yano製の250GB RAID NASをついに導入した。安くはないけれど、背に腹は代えられない。何日も苦労して積み重ねた作業が一瞬にして飛ぶ悪夢を思えば、決して安くはないものの、高いとは言い切れない。

TigerにアップしたばかりのMacと1000Base-Tで接続されたNASは、スタッフによってデジ茄子と名付けられた。ボケ茄子からデジ茄子へ、早くも60GB以上溜まったその作業データを移動するのに、待つこと四時間。快適なアクセス状態は、今までのボケ茄子の振る舞いが嘘のよう。腐った茄子と地元産(ヤノ電器は神戸の企業)最高級茄子の差は歴然としていた。例のHELIOS FileSystemTESTもこれを裏付ける結果で、全項目で合格。さすがは業務用の、現場で定評あるYanoだ。

さて、ところで世の中、安くなったパソコンで「できる」仕事のお値段は下がる傾向にある。が、仕事のコストはこのNASの一件でも分かるように、逆に上がっている。パソコンで「できる」はただ「できる」ようなのであって、「確実に継続できる」「絶対にやり遂げられる」ことを意味していない。だから、そういう製品では「仕事で使える」とは書いていない。

ところが、世の中、下らん脳みそしか持たんノータリン(脳足りん)はまだマシ、文字通りの「脳無し」(*1)がいて、この「できる」を業務が完遂できる意味に受け取る。で、仕事の値段が下がると、業務を支えるクオリティも下がる。先日のJR事故にも通じるところがある、極めて危険な傾向である。その昔、国会議員のWebサイトを作るのに、秋葉原で買ったソフトを専用線接続したパソコンに突っ込めばできると、広告代理店等が売り込んだ高価な業務を委員会で叩いた国会議員がいた。達増拓也議員だ。あらゆる技術の変遷やセキュリティ、作るスキルやかかる時間を全て無視した暴言だった。Web作成業務までやらされるようでは、同議員の秘書さんはさぞかし大変だろうと思ったものだし、そんなんで本業は大丈夫なんかいな、とも思ったが、相変わらず、同議員には秘書多忙の調査不足からか、掘り下げと配慮の足りない発言が少なくないようだ。

もっとも、人の生命がかかっているところまでケチるくらいなら、データ保存の確実性やハード寿命の疑問など、考え及ぼう筈もない。そして、そのような輩に限って、データが消失したなどというと、烈火の如く怒るのだ。

「できる」と「ちゃんとできる」の差は、あまりにも大きい。そして、ちゃんとできるスキルのある人は、非常に少ない。もっとも、ちゃんとできているかどうかを確認できる管理スキルのある人も少ないから、なんとなくそれで流れて行く。かくて、誰も責任をとらない社会が続く体たらくとなる。ボケ茄子とデジ茄子は、業務用という次元を再認識させてくれた。パソコンではなくワークステーション、ボケ茄子ではなくデジ茄子。同じ業務用でも、量が多い分だけ安くなる醤油味噌などとは全く次元の違うこと。確実性・遂行率向上のためのコスト負担は不可避なのだ。

脚注1: 国語辞典では無能=能無しだが、敢えて…      [読んでいた場所へ戻る]