去る17日、2110万画素・35mmフルサイズCMOS搭載のEOS 5D Mark IIの11月下旬発売が発表された。フルHD(1,920×1,080ピクセル・30フレーム/秒)での動画撮影機能と約15万回の作動耐久性能を持つシャッターユニットで…
SONYが先にリリースした作動耐久性能約10万回の2460万画素機α900や、同様にハイビジョン動画の撮影機能を持つNikon D90と、ハイアマチュア市場で対抗することになる。
色々と興味は尽きないのだが、一つ比較してみたいのは14bit信号処理と12bit信号処理の差。階調性で桁違いなのだけれど、果たしてそれは結果にどの程度反映されるのか、興味深い。

撮影できる解像度では、SONYの2460万画素が6048×4032なのに対して、Canonの2110万画素は5616×3744。いずれも、そのまま印刷でA3を上回るサイズだ。経験から言うと、巨大プリントが近づいて意地悪く見るわけではない代物だという前提では、20Dクラスの画像でもA1サイズにインクジェットプリンタで印刷して違和感はなかったから、いずれの機材によるデータからでも、A1といった大サイズでも補完の少ない相当クリアなプリントアウトが得られるだろう。経験則では、同じフォーマットサイズでは画素数の小さな素子のほうがノイズが少ないということもあるから、一概に何がなんでも大きいばかりが良いとも断じきれない。これは、信頼できる第三者による公平な試写・評価が待たれるところだ。
面白いことに、このハイアマチュア市場狙いの賑やかさに乗じたかのように、Carl ZeissがEFマウントのPlanar T* 1,4/50 ZEとPlanar T* 1,4/85 ZEをリリースするという。こうした非純正レンズを考慮すると、レンズは見事に絵の雰囲気を変えてしまうから、Canonレンズだけに縛られてきたユーザーがZeissという選択肢を得るのは、面白い流れだと言って良いだろう。
実は、CMOSサイズこそ23.4×15.6mm APS-Cだけれど、今面白いのがPENTAX。純正のラインアップに、SAMSUNGが販売しているSchneider-Kreuznachのエンブレムのついたレンズとどう見てもほぼ同じモノが混ざっているのだ。D-Xenon18,5-37mm f4、50-200mm f 4 - 5,6、18-55mm f3,5-5,6、100mm f2,8、D-Xenogon 35mm f2、そして10-17mm f3,5 - 4,5の計6本が、それ。PENTAX愛好家の中にはわざわざ海外からシュナイダーエンブレムのレンズを輸入して比較しようとしている御仁もあるようだから、そうした方のblogなども検索・参照して見ると良いだろう。ZeissもSchneiderも、写った写真の空間がまるで違って、いかにも凄いレンズだと唸らせるほどの製品を生み出してきたブランドである。
さて、本題に戻ってCanon5DII。こうして50Dや5DIIが高解像度化した結果、フラッグシップの1DsMk3が解像度の数字だけを見ると見劣りしてしまうのだが、果たしていつまでこのままなのだろう。ハイアマチュア用というが、重量とコストパフォーマンスからすると、5DIIは結構…いや、かなり使えそうだし、重宝しそうなのに対して、Mk3が2110万画素で85万円というのは、あまりに高価に感じてしまうのではないだろうか。確かにシャッターの耐久性は違うのだろうけれど、こうも陳腐化が早いと、償却とのバランスが取りづらいという面もある。それに、幾らプロだと片意地を張りたくても、あの重さ。とてもじゃないけれどフィールド撮影では正直言って「メゲる」。もし対抗して解像度を上げてくるのなら、次のステップはLeafやPhaseOneにも比肩してしまう2800万画素〜3300万画素クラス(注:Leaf/PhaseOneは最大モデルでは5000万画素を越えている)か、或いは単純比率で5DIIを拡大して得られる数字、3800万画素…無論、そんなことは知る由もないのだけれど、そうなったらなったでまた、デジタル写真機材は価格・性能面で桁が変わり、新たな領域に入ってゆくことになる。中判や大判といったカメラの筐体は、いつまでそれらしいシルエットであり続けられるだろう。Photokina2008まであと4日。次々とヴェールを脱いでいる新製品群だが、まだひょっとしたらそこにサプライズが待ち受けているのかも知れない…。
Posted by nankyokuguma at 13:43:37. Filed under: Photo
