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Friday, June 06, 2008

─ M$地獄から抜けたら、次はAdobe地獄から抜ける番かも知れない

OSはLeopradにアップしたものの、Adobe CS3がリリースされて以来、どうしてPhotoshopをアップデートしなくちゃいけないのか悩んできた。「CS2は対応アップデートの予定なし。だからCS3を買え」というのにうんざりしたのだ。

CS3へですらそう思っていたところに、決定打が発表された。CS4の64bit化はWindowsだけだというのだ。冗談じゃない。誰があんな不安定なプラットフォームに戻りたいもんか。世の中VistaをXPにダウングレードしていたり、2003サーバーならまだ何とかといった具合なのに、なにがVistaで64bitだ。

ところが、CS4まで待たされる筈の64bit化、Appleのほうが一足先に進んでしまいそうな雲行きになってきた。

いつまでAdobeだけがツールなのか

Windowsだけ64bit化するというニュースに触れて、私はすぐ「○ッ○じゃなかろか」と思った。

サブプライム問題以後の景気悪化で洋の東西を問わず期待が持てなくなっているというのに、Leopardへアップしたら色々良くなるからとアップしたらCS2対応せず。それでも一応動いているからとCS3への移行に時間を稼ぎ、やっとこさ、License Upgrade(ディスクはワンセットのみで、ライセンスだけを本数分という販売方法。ライセンスキーは表彰状のような証紙で送ってきた。Tooに尋ねてようやく、これならWinからMacの乗り換え、クロスアップグレードもできると分かったほど、普通には分かりづらい購入方法)でwindowsからのOS乗り換えができて、先頃購入したMacbookProを含めてCS3の環境が整ったのだが、次は一体幾ら貢がされることやらと辟易していたタイミングだけに、Adobeはこの件で見事にとどめを刺してくれた。興ざめとはこのこと。そも、未だに周りが持っていない ─ つまり印刷屋へ入稿しようにも印刷屋のほうがCS3未対応のところが多いってぇのに、どうして作り手側だけがアップグレードできるのかね。

SilkypixやApertureに比べて画質の粗いRAW現像機能と、良く落ちる不安定なBridge(CS3では英語インターフェースのままだ)、そして、何のアドバンテージもないLightRoom。この組み合わせがプロの写真家こそだなんて、誰が言うんだ。Adobe自身だけじゃあないのかね。プラグインが豊富というのも、CS3になってからというもの、各ベンダーの追従が遅れている。著作権保護のDIGIMARCも年末までにはといった調子だから、ましてCS5となったら、一体どうなることやら、だ。

とはいえ、完全にAdobe PhotoshopやIllustratorにさようならと言えるほどに育ったアプリは、残念ながら見あたらない。DTPのInDesignは、QuarkXpressが王道だったけれどもOS X対応で遅れてしまった隙をついて広まったが、価格差も影響しただろうと思う。方やAppleは、玉を揃えた分野ではAdobeと競合しながら、玉のないところではAdobeユーザーに頼っているのも事実だろう。何か他の良いツールに登場し、普及して欲しい ─ 今、これからがチャンスかも知れない。

全く揃っていないリリースタイミング

そんな事をつらつら考えていたら、この件から発展して、さらにAppleとAdobeの蜜月の終焉を匂わせる噂が、Apple Insiderに掲載された。次期OSのSnow LeopardからはCocoa-onlyとするというのである。PowerPCのサポート終了と同時にCarbonも切り捨てるそうな。CS4がまだCocoaにならないとすれば、64bit化の問題に留まらず、事は2009年1月のMacworld2009の後可能な限り早くリリースされるともいう64bit版のMac OS X 10.6 "Snow Leopard"のリリースからCS5がリリースされるまでの間、AppleのOSとAdobeのアプリの間に空白期間が生まれることになる。

AppleはAdobeはもう使えないよというSnow Leopardをリリースし、AdobeはとりあえずCS4を買って、マシンのアップグレードは待てというようなものなのだけれど、マシンを新調するユーザーには通じない。まさか、わざわざAdobe CS4だけのためにVistaとXPのように、Snow LeopardをTigerやLeopardにダウングレードする人もいないだろう。

この問題にAdobe側から釘を刺しているのは、Photoshopプロダクトマネージャーのオフィシャルブログ“John Nack on Adobe”4月2日付け記事。AppleのCarbonのWebサイトの記述がCocoaから注意をそらしているとして「Cocoaが純粋なMacソフトウェアを記述する唯一の方法だなんて、ちゃんとした説明を聞いた覚えはない」と述べ「64bitコンピューティングはPhotoshopとLightroomを発展させるのに重要だが、特効薬ではなく、吹聴もしない」としている。Mac版についてもできるだけ早く64bit化するとは言うのだけれど、「これまでのようにAppleと緊密に連携しながら開発する」というその「これまで」にも、蜜月の終焉を匂わせる噂はあった。だから、こうもズレが生じているのを見ると、どぉも言葉を額面通りに受け取れないのだ。どこかギクシャクしている印象が拭えないように感じてしまうのは私だけだろうか。

結果的に長く使える ─ やっぱりMacがベストだろうけれど…

Windowsでグラフィックワークステーションとなると、いきなりMacよりも高くなる。その割に、耐久性・安定性はというと、経験から言って、そこそこのPCと極端に違うわけでもない。

Power Mac G5 2.5MHzを使って3年半。PowerPC版が切り捨てられるかも知れない ─ 恐らくそうなるSnow Leopardがリリースされるタイミングから逆算すると、既に丸4年は使えた計算になる。更に、Snow Leopard上で動くアプリが出揃うのを待つなら、おそらく、ほぼ5年スパン。それなら、原価消却と間尺が合う。CS4は見送ってCS5に飛ぶか、それともAdobe地獄から抜け出すか ─ まだまだ考える時間はたっぷりある。OSをアップグレードしRAIDのハードディスクもローテーションしているとはいえ、パソコンが5年使えるというのは、凄い。これでこそ仕事の道具である。

一度は倒産したものの蘇ったSGIのFuelなんて使おうにもAdobeアプリは動かないのだから、広く普及している上に自分も手慣れているAdobeアプリから離れない限り、MacかWindows機か、どちらかで仕事をすることになる。Adobeがもし64bit化をわざと遅らせるほどAppleと円滑に進めないのなら、いっそSGIのIRIX OSで動くヴァージョンでもリリースしたら良いだろうと思う。もっとも、値段は一台200万円以上だから、写真やデザイン、DTPといったジャンルの仕事のギャラが桁違いに跳ね上がることは間違いないし、値段を上げられないのであれば考えようもない。それに、SGIのノートなんてないのだから、SGIでロケ先での写真調整だって、あり得ない話。

結局「やっぱりMacだよなぁ…」と思うわけだけれど、普通に考えると、Adobeが一念発起、Windows版を放置してでもMac版64bitCS4をSnow Leopard対応にしない限り、“Macの買い換えが進まない”のと“Adobeの新ヴァージョンが売れない”という二つのネガティブが重なってしまいそうだ。もっとも、Adobe CSを代替するに十分なアプリ群が出てくればまた、ごろりと話は変わるのだけれど…。