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Thursday, April 14, 2005

ザ・老眼鏡 老殿在庫(ローデンストック)
もともと遠視だったので、老眼になるのが早いよ、と眼科医からも言われていた。けれど、実際になってみると…

「愕然とする」。


先ず、暗がりで近くのモノが見えない。飲み屋でふと時計を見てボケていたときのショック。スコッチのラベルが読めないのは、酔眼のせいではなかったのだ…

パソコンでの仕事用には以前から遠目を殺す眼鏡と呼ばれる軽度のものを使っていた。が、祖父や父が言っていた「見えない」というのはこぉいうことかと、改めて実感。仕事用眼鏡はさっさと、遠近両用でモニタと手許のキーボードあたりへ焦点を合わせたものに作り変えた。

眼鏡なしでも、暗がりで天体望遠鏡を操作するのにはまだ不自由はしないけれど、ノートパソコンを操作したり、星座早見盤や資料を見ようとすると、もう駄目。最悪は4×5ビューカメラのカブリを被ってピントグラスを覗き込んだり、コンパクトデジカメのモニタを見たりするときで、まるで合焦しない。ところが、ちょっと離れたところは、逆に眼鏡が邪魔。デジタル一眼レフのファインダーなどには視度調整機能があるから眼鏡は要らないが、モニタに表示されるメニューで機能設定したり、再生画像を確認するには老眼鏡が要る。それも、暗闇で天体望遠鏡に装着したカメラを操作するときが、最も必要なとき。

パソコン操作用に作った遠近両用の近距離側ですら、モニタを見たりするような至近距離では合焦しない。いよいよ至近距離用が別に必要だと感じて、できあいの安い老眼鏡をしばらく使ってみたところ、どうやら、下がり気味に鼻先にかけておいて、遠くは上目使いに見たり、首から下げておいてかけ外しするのが具合が良い ─ いかにも年寄り臭いそぶりだが、背に腹はかえられない。

そうして継続的に使ってみていたら、鼻先にずらしてかけるのなら、レンズの上側にはフレームがないほうが、目障りでなくて具合が良いことに気づいた。なるほど、鼻眼鏡ってやつは、だからあの形(下側フレームでレンズを支えている)なのか、と悟る。実は、私の目は軽度の乱視で、できあいの安い老眼鏡は今一つ不安だったこともあって、思い切って先日、近距離用を注文した。結果は上々、デジカメのモニタやメニューを見たり、就寝前に本を読むのが、かなり楽になった。

しかし、上側にフレームが回っていないで、鼻先でかけるタイプ、という条件をつけると、フレームの選択肢は非常に少ない。試しにw.w.w.を検索してみると、いかにそんな形の眼鏡フレームがないか、良く分かる。

ザ・老眼鏡 老殿在庫(ローデンストック)
この眼鏡、良いことばかりではない。鼻先用で、縦に短いから、横書きの英語は良いけれど、小説などの縦書き日本語を読むときには、その細長い眼鏡を目一杯上げて使うことになる。一段が新聞や雑誌くらいの文字数なら、まだ、この細長い老眼鏡でも不自由しない。単行本の一行になると、この縦の短さが、妙に気になる。高齢者を視野に入れた本は、文字を大きくするのも一つの配慮だけれど、段組にして一行の詰め文字数を減らすのも、気の利いた配慮になるのかも知れない。例え遠近両用レンズでも、その距離に有効な天地幅は狭いのだ。

老眼鏡を忘れて買い物に出たら最後、商品のラベルを読むのは、近視の家内が頼りだ。「出かけるときは忘れずに」のリストに老眼鏡が加わって、本当に不便。遠くを見るのには全く眼鏡が要らないのだから、近視と違って常時眼鏡をかけているわけでもなくて、うっかり忘れ易い。かけたり外したりの手間はあっても、紐で首から下げておくのが良いのだけれど、赤道儀や望遠鏡を運んでいて、うっかりレンズに傷をつけてしまってからというもの、余計に気を遣う。

しおりにならない老眼鏡─ちょうど届いたApple Confidential 2.0の表紙上に置いて…
高齢化社会というからには、老眼鏡のニーズは相当あり、市場だって決して小さくないはずだ。眼鏡業界の方々には、是非とも、老眼鏡について深く考えてみてほしい。私は、ふと「鼻眼鏡をしおりのように本に挟んでおきたいな」と思ったのだけれど、ツルの部分がない文字通りの“鼻眼鏡”は、もはや製造されていないらしい。それに、できるだけ丈夫なフレームを選んだつもりだったけれど、紐で首からかけていれば、レンズに傷が入る可能性は高い。胸ポケットに入ったり首から下がった眼鏡の位置には、タイピン、首から下げた携帯電話、ペン、愛煙家ならライター等など、容易にレンズを傷つけそうなモノがゴロゴロしているし、車に乗ればシートベルトで、電車に乗れば満員の人々で、押しつぶされる。フレームこそ形状記憶などの優れものがあるけれど、レンズは、どんなに軽くてもプラスティックでは傷が入るから、ガラスの方が良さそうで、失敗。

他に、アイデア商品で、帽子につける老眼鏡や跳ね上げ式老眼鏡なんてのは、蝶番が飛び出していたりして、あまりにお洒落からほど遠い。それなりに重宝するシーンはあるのだろうけど、私は思い当たらない。老眼鏡を首からかけておく紐なんぞは、金具が弱くてすぐに壊れた(眼鏡自体が壊れるよりはマシか)。もっともっと、工夫の余地があると思う必需品 ─ それが“老眼鏡”なのだ。