Wiredが伝えるところによると、AOLは2008年2月1日をもってネットスケープに関する開発やセキュリティフィックスを終了するそうだ。
2007年の終わりに飛び込んできたニュースとして、なんとも感慨深い。思い起こせば…インターネットの最初は、Windows3.1へのトランペットのインストールやモザイクかネットスケープのインストールに始まった。人を煙りにまくような話の載ったネットスケープのマニュアルらしきものには、黎明期のワールドワイドウェブのこれからへの夢が行間からにじみ出ていたものだ。
黎明期を思い起こせば
'94年に誕生したネットスケープは'95年の阪神淡路大震災後に急速に普及しだしたインターネットという情報テクノロジーの黒船の一つとして、日本にやってきた。その後、Windows95〜98のリリースに伴って激化したブラウザ戦争の中で、モザイクベースのMSインターネットエクスプローラーなどとその座を争った。OSに標準搭載されたブラウザに対して不利な闘いを強いられた他のブラウザ群の中にあって、ネットスケープは安全性などの判断から官公庁や企業の標準指定ブラウザの地位を得ていたのに加え、アンチMS派の根強い人気もあった。が、AOLが1999年にネットスケープコミュニケーションズを買収。AOLはソースコードを公開し、オープンソースのモジラプロジェクトが始動したのだった。
それから8年を経た今日、モジラ・ファンデーションがFireFoxやThunderbirdで順調に成長している事から、AOLはその役割を終えたと判断したという。
未だに、それも7.xを標準にしている官公庁
さて、'08年2月1日をもって全ヴァージョンのサポートを終了し、Netscape.comはポータルサイトとしてのみ残るとなった今、注目したいのは日本の官公庁。というのも、このニュースに出くわして、実は未だにネットスケープ7.X系を指定プラウザとしている省庁があることを改めて問題だと感じたからだ。果たして、完全に開発が止まってなお、ネットスケープのほうが安全だとして指定ブラウザとし続けるのだろうか。或いは、内部だけのシステムを利用するブラウザとして、これから先もネットスケープ7系を捨てられずに行くのだろうか。
こうした古いブラウザの仕様に偏ったシステムを構築してしまい、しかもそれを世の中のセキュリティフィクスの流れがあるにもかかわらず更新できずにいるあたりからして、既に生産性が高いわけがないと思える。先日の日経の一面トップは日本の生産性が先進諸国内で18位という記事だったが、さもありなん。まぁ、官公庁はどこの国でも生産性の足を引っ張っているとはいうが、頻発する情報漏洩など、こうした現実からして当然、起きるべくして起きているのだろう。嘆かわしや…。
老兵は死なず、消え去るのみ
ブラウザ戦争で善戦したネットスケープという老兵、「今はただ、消え去るのみ」か。だが、インターネットとワールドワイドウェブの歴史上、そのあまりに大きな存在を抜きにはできない。その存在を懐かしむ人々のために、FireFox用の、ネットスケープのテーマと機能拡張のパックが提供されている。この年越し、第九を聞きながら過ぎた日々を振り返るなら、ブラウザはネットスケープ風が似合うかも知れない。
Posted by nankyokuguma at 09:27:29. Filed under: Internet
