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Tuesday, January 31, 2006

デフラグ不要といわれているMac OS Xでもデフラグは有効に働くのだろうか。論より証拠、一年ほど使ったPowerMacに、偶然見つけた英国製アプリiDefragでデフラグをかけてみた。最初はクイックモードで、使っているブートディスクをそのままデフラグしただけだったが、結果は ─ なんと◎。今一つ良く分からんといえば良く分からんのだが、心なしかキビキビしているように感じる。そこで、気を良くしてバンドルされていた CDMakerでブートCDを作り、ブートディスクをしっかりデフラグすると、はっきり体感できるほどの速度向上になった。 なぜデフラグがMacでも必要なのかといえば、同アプリの説明によれば「基本ツリーはフラグメンテーションなくできているが、一旦削除したら、その後、そこにできた空きの分を取り返して埋め戻すようにはないってない」からだそうだ。また、既存のデフラグツールが却ってパフォーマンスを殺いでいたのは、ホットバンドというエリアのファイルにタッチすることでOS XのAdaptive Hot File Clusteringという仕組みが効かなくなるからだそうで、このiDefragはそこに対応しているところが違うんだそうな。

デフラグが要らないという理由には、先ず、OS X 10.2から備わった遅延再配置機能がある。ファイルを開く際、データが分散記録されているなら、これを、連続した領域に収まるようにするというもので、再配置はバックグラウンドで行われる。偉い!!といいたいところだけれど、これは、8つ以上に分断された容量20MB以下のファイルだけを対象に機能する。

ファイルを開こうと読みにいった時、もしファイルが八つ裂きになって散らかっていたら、バレないうちに修理整頓しておいてくれる、というわけ。ただ、大きすぎると手に余るから「見なかったことにしましょう」ってな雰囲気か。

もう一つが10.3から備わった、前述のAdaptive Hot File Clustering。アクセス数を記録し、アクセスが頻繁なファイルをディスク上の高速領域に移動させる。具体的には、ディスク外周の0.5%の領域に、10MB以下の小さなファイル(最大5000個まで)を対象として、10GB以上のボリューム容量でジャーナリングがオンの起動ボリューム(しかも、のもの)でだけ機能する。

図書館で、貸し出しの頻繁な本はいちいち書棚に戻さず、人気書籍とでも銘打って貸し出し窓口の前に並べましょう、というようなもの。但し、その本は新書に限る(つまり、小さな本=10MB以下)というわけ。

さて、ここで私がMacで触っているファイルのサイズを見ると…4頁のミニ新聞InDesignデータが117.6MB。EOS 1DsMk2で撮影したRAWデータは15MB前後だが、一旦現像したPhotoshopファイルは95MBほどにもなっている。つまり、巨大画像をハンドリングしているからには、前述のデフラグ不要は通用しなくなる。データがシステムディスクに混在していなければこの問題は発生しないが、そうとは知らず、ディスクが一つしかない初めの頃に、やむを得ずブートディスクに収めてしまったり、ビデオ編集で取り込んだら勝手にブートディスクに収まっていたりした。アプリも試してはアンインストールしたりしてきたから、私のディスクではかなりフラグメンテーションが進んでいた、ということだろう。

一般的な用途で想定されるファイルサイズなら、アップルが言う通り、先ずデフラグの必要性はないのだろう。でも、グラフィックワークステーションやビデオ編集システムといったMacの真骨頂が発揮される用途の場合は、逆にデフラグが必要なのだ。全く新しい外部ディスクにゼロから保存をかけて行くだけなら、当然、フラグメンテーションは起きない。でも、プロ用デジカメたるや、1600万画素はおろか3900万画素なんて画素数の機材も出てきているこのご時世だ。フラグメンテーションにまつわる詳しい情報は必要だし、安心して使える外付けディスクを用意するに超したことはない。さらには、このデフラグやディスク検査ユーティリティの類も、撮り直しの効かない貴重な画像データをハードディスクのようなトラブルのあり得る媒体に保存する以上、必須だろう。

ところで、私は最初、このアプリを英語サイトで見つけて、そのまま英国の本家サイトからダウンロードしたが、後で検索してみて、日本ではNetJapanが代理店になって販売していることが分かった。ダウンロード販売の価格は3,990円(税込)。巨大ファイルの操作が多い仕事をこなしていて、最近どうも遅いと感じているなら、試す価値は大いにある。