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Silky Pix 桜

数あるRAW現像ソフトの中でも「秀逸」なSilkypixの、次期ヴァージョン公開βテスト版を試用比較。

RAW現像ソフト “SAKURA”

公開β版テスト

富士フィルムのハニカムに対応したという「SAKURA」の公開テストが始まった。ただハニカムに対応したのみならず、ダイナミックレンジも広がったというから、試さないほうは、ない。早速ダウンロードし、季節柄、撮ってきたばかりの桜写真を現像してみた。

(data / CANON EOS 1DsMkII EF 24-105mm f4L IS ISO100 1/100sec. f16)

test image桜の季節らしく桜写真を比較…

今までのRAW現像ソフトのテストでも証してきたように、Silkypixは最善のRAW現像ソフトの一つ。今回のSAKURAも、期待通りの成果を見せてくれた。

一方で、DxOなど他でも改善が進んでいるのだろうから、市川ソフトラボの開発者の皆さんは寝る暇もない…かも知れない。ユーザーとしては、RAW現像ソフトのトップクオリティの一角を担い続けて欲しいと祈るばかりである。

テスト結果は非常に微妙な差異となった。SAKURAはSilkypix2よりも若干シャープな仕上がりが得られるようになったと思うが、ノイズのない背景の奇麗なボケはそのままだ。

DxOと比べた時、Silkypixの特徴として言えることはその処理速度の早さ。DxOはレンズごとの補正などをフルオートでかけているが、Silkypixのそれはマニュアルだから、問題とまでは言えないのだけれど、非常に遅い。Power Mac G5 Dualに2GBのメモリを積んだ私のマシンで「もっとメモリを、もっとパワーを」と思ったのは、撮影した46枚の桜の写真を一気に自動処理させた時で、ちょうど、E-6の上がりを待っているような心境だった。

花びらのディティールの再現性では、右の例でも分かるように、SAKURAがトップの仕上がり。

ひょっとすると、Silkypixと対峙するベストチョイスはApertureかも知れない。なぜなら、忙しい写真家なら指示項目をmetaとしてデータに挿入して次ステップを担っているグラフィックデザイナーや編集者にデータを渡し、自分は次の撮影に向かわざるを得ないだろうから。ApertureはAppleサイトで広告されている通り、ワークフロー次第では相当なタイムセーバーだろうと思う。もっとも、私はまだApertureのRAW現像、或は指示挿入をやった結果がどうなるか、まだ体験していないので、残念ながら断言しかねる。

ただ、いかに多忙であれ、写真家たるもの暗室に入って作業していた頃のように、自分が撮ったものを丁寧に自ら仕上げたいときもあるはず。それこそがSilkypixの出番だ。

一方、DxOは非常にユニーク。前述のように時間がかかることを除いて、絵柄によってはDxOのほうが望んだ結果が得られる場合もあると思う。混みいった絵柄でなおかつレンズの歪曲などをできるだけなくさねばならない場合などは、人間の目や勘のいい加減さに頼っていたずらにいじりまわすくらいなら、DxOの自動補正が救いになるだろう。

そして、比較する都度常に失望させてくれるのがPhotoshop。もっとも、最終の微調整や加工など、まだまだPhotoshopのお世話にはならざるを得ないし、また、使い勝手でも身に付いてしまっているから、もはや定番として拒否できるものでもない。いっそ、AdobeがSilkypixの現像エンジンを買って取り込まないかと思う。写真を扱うためのアプリケーションの王座はPhotoshopのものだろうが、ことRAW現像に限っては、比べてしまえば、一応現像できるというレベルでしかない。CS2で加わった新機能を考慮してもなお、このRAW現像の結果を踏まえると、最良の結果をユーザーが得られるようにすることより、他の事で忙しいのかなぁ、と見えてしまう。

full moon by Sakuraところで、私がSilkypixを凄いと思ったのは、最初のβ版で月の写真を現像してみたときだ。今回のこのSAKURAのβも比較するべく同じデータを現像してみた。明らかな飛躍的な改善度が分かると思うので、Mac版の2.0βの上がりと、是非比べてみていただきたい。アンシャープの利かせ過ぎのような症状は出ていないのに、シャープ効果がしっかり利いているし、ノイズも減少していて、月面のディティールが良く分かる。

いずれにせよ、Silkypixは写真の好きな誰もにとって、今のところ最良の結果が得られるアプリの一つだ。今回のSAKURAが製品としてやがてリリースされることを、そのリリースにあたって公開テストでベストを尽くそうとしている市川ソフトウェアラボラトリーの姿勢に敬意を表しつつ、楽しみにしたい。

2006年2月22日 冨安 大輔